進むデジタル化 ジョコウィ政権2期目へ

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が2024年まで2期10年の任期を務める見通しとなった。プラボウォ陣営が敗戦を受け容れるまで今しばらく緊張が続きそうだが、ここではジョコウィ政権2期目を展望してみたい。
 まず、今回の大統領選挙戦を通じて見えてきたことがある。それは、両陣営が重視する点に一定の共通性がみられたことだ。誰が大統領になったとしてもインドネシアが今後歩むであろう中長期的方向性がそこに表れているように思う。
 そのひとつは、わが国のもつ豊かな資源を国民のために生かす、国内で創出する付加価値を増やし雇用を増やし輸入依存を減らす、という主張である。経済の自立、工業化、川下化(資源加工産業の振興)というキーワードが使われ、国営企業がその主体として重視されている。
 もうひとつは、政治のイスラム化である。公開討論会の場では宗教を論じることは禁じられており、多様性を重視する国是パンチャシラが語られる。だが実際には、国民の9割近くを占めるムスリムの票をいかに引きつけるかが両陣営ともに死活問題であった。「アッラーは偉大なり」を連呼して扇動をはかるプラボウォに対して、世俗的とみられているジョコウィは最大のイスラム組織ナフダトゥール・ウラマ(NU)総裁とペアを組んで彼の権威とNU票田に頼らざるをえなかった。政治とイスラムの距離が一歩近づいた。イスラムの道徳規範が法制度に反映される事象が少しずつ増えていくかもしれない。
 さて、第2期ジョコウィ政権は、どのような政策に力点を置くだろうか。ジョコウィ自身が公開討論会で繰り返し強調していたのは、デジタル化の重要性である。
 ジョコウィは、デジタル化を成長政策だけでなく分配政策のカギとして位置づけている。島々や後進地域をデジタル通信で連結する。農民はオンラインで市場にアクセスできるようになる。中小企業者はフィンテックを活用する。遠隔地にも教育や医療の情報コンテンツを届けられる。デジタル技術革新が、取り残されてきた層の底上げに極めて有効に働く、という発想だ。
 ジョコウィは、第1期の成果としてインフラ開発を挙げつつも、これは次の段階に成長を進めるための第1段階にすぎないという。次の段階とは、第4次産業革命を可能にする人的資源開発、産業構造改革、イノベーションの推進だという。そして、ミレニアル世代、スタートアップに期待を寄せ、外資の活用も必要だと説く。
 ジョコウィ再選とはいえ、プラボウォ側との差はそれほど開かず、与党の得票率は伸びず、与党連合のゴルカル党は第3党に後退した。勝利に貢献したイスラム勢力への配慮も求められる。政権運営には制約が多い。
 だが、ジョコウィ続投で不確実性は大いに下がる。模様眺めだった消費や投資も戻り始めるだろう。インフラ協力で成果を示した日本は、デジタルでも連携を深めることができるだろう。(佐藤百合・JETROアジア経済研究所理事)

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