【連載ルポ「ごみ山」】(下)家族ぐるみ、子どもが手伝う ごみ収集人の集落 自宅小屋近くで仕分け

 ごみ山の一角に十数軒の小屋が並んでいた。トタン板と木材を継ぎはぎして造られた家。屋外には雨ざらしのベットが置かれていた。ごみを拾うウェイストピッカーらの自宅だ。ごみを入れるかごや、ごみ袋が転がっていた。 

 西ジャワ州ブカシ市のごみの処分場の近くに、ウェイストピッカーは小屋を建て、ごみの移動に合わせて、小屋も移動する。定住しないため、正確な人数がわからないケースが多いという。同市職員は、TPAスムルバトゥには「100人以上のウェイストピッカーが働いているのでは」と話す。
 周りの集落に移動すると、ウェイストピッカーが拾ってきた、ごみを仕分ける仕事場が広がっていた。年配の女性や若い男性4人が、分別のためのかごに囲われ、座っていた。大型のごみ袋が大量に転がり、黒ずんだペットボトルや水の容器などを、一つ一つ、かごに投げ入れていた。
 それぞれの売値を聞いたところ、水の容器が最も高く1キロ7千ルピア、「ヤクルト」などの乳酸菌飲料の容器が最安で1キロ千ルピア。1週間で、1カ月の収集分3トンを仕分ける。ごみを拾い、仕分ける作業は、家族で担っているケースが多いという。
 この集落に住む男性のマドゥンさん(46)は、自身が幼いころから、ごみ山で働いているという。マドゥンさんは背丈ほどあるごみ袋に、平らにしたペットボトルや水のカップなどを詰め込んでいた。マドゥンさんは4人の子どもを持つ。ウェイストピッカーの多くは普通の学校に行っていないなどの理由で、地元の工場などでほかの仕事に就くのが難しい、と言う。
 近くには。学習センター「PKBM AL FALAH」があり、ごみ山で働く家族の子どもらが通う。企業や個人の寄付で成り立っている。
 小学生から中学生の年齢の子どもを中心に250人が通っているという。子どもたちは、正式な住所を持たず、出生証明書や住民登録証(KTP)がなく、公立学校に通えない。このため、同センターは2007年に社会活動家によって設立された。
 同センターのイスナ先生(35)は、子どもたちの家庭の収入は、およそ1日10万ルピア。4人の子どもがいれば、「食べていくのが精一杯」という。学費は無料で、職業訓練のための学習もしている。
 男子生徒の一人、ヨガさん(14)の将来の夢は、警察官になること。週に3回ほど、学習センターに来た後、ごみ山で仕事をする。ごみの仕事は好きかと聞くと、「両親を助けられるから、仕事は好き」と満面の笑みで答えた。
 ごみ山の存在は、住民に仕事を与える一方で、職業選択の機会を奪っているのでは、と思えた。
 しかしブカシ市の元市議の男性(54)は、正反対の意見だった。
 「ウェイストピッカーは商売として悪くない。田舎から出てきて働き、出稼ぎと同じだ」と言う。元市議の話では、ウェイストピッカーは1日200キロ(売値1キロ千~5千ルピア)を処理する。
 「東、西ジャワ州から出てきて、同じ村の集団で暮らし、働いている。地元に帰れば、いい生活をしている」との見方を示した。
 ごみ山に滞在し、次々と有価物のごみを回収しているウェイストピッカーを見ていると、ごみ山が資金源の詰まった山にも見えてきた。(木許はるみ、写真も)(おわり)

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