スンダ海峡津波解明へ JST 日イ共同研究を支援

 日本の科学技術振興機構(JST)はこのほど、研究技術・高等教育省と協力し、昨年12月22日に発生したスンダ海峡津波に関する「国際共同研究・調査支援プログラム(J—RAPID)」を実施すると発表した。両国の研究者が2020年3月まで、津波の発生メカニズムの解明などを目指し、計6件の研究・調査を行う。

 国家防災庁(BNPB)によると、スンダ海峡津波の死者数は昨年12月31日時点で429人。同海峡に位置するアナック・クラカタウ山の山体崩壊が原因と考えられているが、津波発生に至るメカニズムの詳細は明らかにされていない。
 研究・調査には、スンダ海峡津波発生直後の12月28日から2日間、被災地のバンテン州で現地調査を行った、中央大学理工学部の有川太郎教授(海岸・港湾研究)と東北大学災害科学研究所の今村文彦所長(津波工学教授)らが参加する。有川教授らは「非地震性津波の発生メカニズムの解明」をテーマとし、ことし中頃に、船舶で山体崩壊現場周辺の海底地形を調査する予定だ。
 有川教授は「津波が比較的小さかったにもかかわらず、多数の犠牲者が出た」と指摘。地震を伴わない「非地震性津波」に対する警報システムがなかったことが、津波避難の遅れにつながったと見ている。今回のプロジェクトではビデオを用いた海面監視の検証や、インドネシア側への避難計画策定手法の提案も行う。
 また、山体崩壊や地滑りによる津波は日本でも発生する可能性がある一方、地殻変動による地震を伴う津波に比べ例が少なく、対策が整備できていないという。今回の津波を解析し、日本の防災にも役立てたい考えだ。
 J—RAPIDは、世界的にまれで、社会的・経済的影響が大きく、緊急の取り組みが必要な災害への研究・調査の支援を目的にしている。2月13日に課題の公募を開始し、11件の応募から6件を採択した。研究予算額の上限は1課題当たり500万円。6件にはいずれも、インドネシアの大学、省庁などから研究者が参加している。
 他5件のテーマは、津波被害と住民の対応の調査▽津波を誘発した火山活動と崩壊メカニズムに関する研究▽リモートセンシングによる津波被害の把握と脆弱(ぜいじゃく)性評価▽津波がサンゴ礁海岸域に及ぼした影響の調査▽地震・津波・衛星画像データ解析による津波発生メカニズムの解明。(大野航太郎、写真も)

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