新魚市場が開場 築地を手本、衛生的に ジャカルタ漁港 閉鎖型に不満の声も

 国内最大のジャカルタ漁港(北ジャカルタ区ムアラバル)に、新しい中央卸売市場「パサール・イカン・モデルン」がこのほど開場した。政府は、衛生管理の行き届いた国内初の「近代的魚市場」として、観光地化を図っていく考えだ。移転した商人たちからは「きれいになった」という評価の一方、壁で覆われた閉鎖型の市場になったことへの不満もさっそく聞かれた。

 約2ヘクタールのパサール・イカン・モデルンは、旧中央卸売市場に隣接する敷地に2017年12月に着工。国家予算約1507億ルピアをかけて、市場と事務所、モスクが建設された。
 新市場の建物は2階建てで、1階に鮮魚を扱う896ブース、2階に食堂や売店用の150ブースと屋外フードコートがある。旧市場は閉場して今後解体する。
 ジャカルタ漁港の入り口に位置する市場には、ジャカルタで水揚げされた魚介のほか、ジャワ島やスマトラ島の全国各地から陸送された魚介が集まる。1日400トン、80~100億ルピアの水産物が取引され、毎晩活気付くが、開場して30年余りになる旧市場は老朽化し、衛生面や悪臭も問題視されていた。
 13日に新市場の開場式を執り行ったジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、「2年半前、スシ・プジアストゥティ海洋水産相に『東京の築地のような、近代的できれいな市場をつくれないか』と言ったことから始まった」と振り返った。「築地のような市場」を目指すべく、スシ海洋水産相は閉場前の築地市場を視察、国際協力機構(JICA)を通じて派遣された日本人専門家も部分的なアドバイスを行ってきた。
 新市場では、魚を洗う海水・真水が出る蛇口をブースごとに設け、水はけを良くするための排水溝をつくった。従来は鮮魚を扱うフロアで屋台も営業し不衛生だったが、屋台はすべて2階に収容。観光地化を念頭に、一般客も2階から見学できる通路も設けた。
 鮮魚を扱う1階部分は2月半ばに移転が完了している。市場で働いて25年になるというリドワンさん(38)は「きれいになって快適。ブースに蛇口が設置されたので使いやすい」と評価。「ただ、壁際のブースの人は積み降ろし場から遠くてかわいそう」と指摘した。
 新市場に移転した商人たちが口をそろえるのが「閉鎖型」の問題点だ。四方に壁がなくどこからも出入りできた開放型の旧市場とは異なり、新市場は壁で覆われていて開口部が少ない。そのため、市場には魚介が次々トラックで運ばれてくるが、積み降ろしできる場所が限られてしまったという。
 壁際のブースを割り当てられたスディルマンさん(50)は「どこからでも出入りできた旧市場では、市場全体がにぎわっていた。今は買い手も入り口付近に集中し、壁際は閑散としている。壁を取り壊して開放し、みんなが快適に商売できるようにしてほしい」と漏らした。(木村綾、写真も)

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