高速道開通、空港拡張 インフラ整備急ピッチ スマトラ島南端ランプン州
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は8日、スマトラ島南端のランプン州で、国内最長区間となる南ランプン県バカウヘニ~トゥルバンギ・ブサール間の高速道路(140・9キロ)開通と、ラディン・インデン2世空港の新ターミナル開所を宣言した。同区間はスマトラ島縦断高速道路の一部で、6月までに南スマトラ州パレンバンまで接続され、同空港では国際便就航を急ぐ。
バカウヘニ~トゥルバンギ・ブサール間は、スマトラ島北端のアチェ州から南端のランプン州を結ぶスマトラ島縦断高速道路(計約2770キロ)の一部。ジョコウィ大統領は「6月後半にパレンバンまで接続される。アチェ州へは24年までの接続を目指す」と話した。高速道はラディン・インデン2世空港付近にも接続しており、昨年のクリスマスから年始にかけて供用を開始していた。
同空港の新ターミナルは9400平方メートルで、旧ターミナル(3700平方メートル)から大幅に拡張された。長さ2770メートル、幅45メートルの滑走路が新設され、ボーイング737型機に対応できる。4階建ての駐車場ビルも完成した。新ターミナルは昨年12月に完工し、すでに開業していた。
同空港は昨年運輸省が国際空港に指定したが、設備不足で国際便はまだ乗り入れていない。ブディ・カルヤ・スマディ運輸相は国際化を急ぐ方針で、国営第2アンカサプラの管理のもと、20年までに1500億ルピアの追加投資が行われる予定という。
ランプン州には調味料の原材料製造やバイオ燃料の研究開発で日系企業が進出している。南ランプン県に事務所を持つトヨタ・バイオ・インドネシアの土生和典さんは高速道の開通で、ランプン州南端にあるバカウヘニ港へのアクセスが向上し、ジャカルタへの物流が改善されると期待する。
一方、航空便に関しては、1月中旬からガルーダ航空のスカルノハッタ空港(バンテン州タンゲラン)往復便が1日6便から4便に減り、チケットが取りづらくなるなど国際線にアクセスしにくい状況になっているという。
ブディ運輸相は貨物便の拡充にも言及しているが、主要な取引先であるジャカルタとはフェリーによる運送が可能で、土生さんは「農産物が主要のランプン州には向かないのでは」と話した。
またランプン州は海洋リゾートとして観光資源もある。同空港の国際化による観光客増に期待する声もある。
昨年12月のスンダ海峡津波で被災したランプン州スベシ島の漁師、サムスルさん(50)は「空港の拡大で(同島が)また注目されて、海外からも旅行者が来てくれれば」と期待した。(大野航太郎)