テロ家族から普通の子へ 児童養護施設でリハビリ9カ月

 2018年5月に「子連れテロ」として国内外を震撼させた、東ジャワ州スラバヤ市内3教会などでのテロ事件。東ジャカルタ区の児童養護ホームでは、実行家族の子ども7人への心のケアが続いている。事件から約9カ月が経ち、7人は「普通の子」としての生活を取り戻している。ホームの施設長は7日までにじゃかるた新聞の取材に応じ、初対面した時の印象やホームとしても初の事例に対する試行錯誤、こどもたちの今について語った。
 このテロで取り残された子どもは、公営集合住宅で手製爆弾を誤爆させた容疑者の子ども3人、オートバイ2台に分乗しスラバヤ市警本部で自爆した実行犯の5人家族の子ども1人、爆弾保持で射殺された容疑者の子ども3人の計7人。
 施設には、過激派組織に参加する目的で渡航したトルコから強制送還された家族の子どもやテロ事件の被害者も含め、計101人が暮らす。施設長のネネン・ヘルヤニさんはまず、この7人の子どもを「実行犯の子どもでなく〝被害者〟と呼んでいる」と断る。受け入れ時の診断で、7人のうち当時9歳と11歳、14歳、15歳の子どもたちが過激派思想を持っていることが分かった。
 特に3人が強い過激派思想を持っており、1人の男の子は、警察官に警護されている最中、「銃がほしい、隊員全員を殺したい」と言ったことがあった。他にも、食肉処理の方法が親と違うと「自分たちにとってハラル(許されたもの)か分からない」と鶏肉などを食べないなどの偏りが見受けられ、親からは「自爆しなければ天国へ行けない」という誤った教義が植えつけられていた。
 施設としても実行犯の子どものケアは初めて。宗教省や内務省、外務省、国家テロ対策委員会(BNPT)、国家警察対テロ特殊部隊(デンスス88)などと連携して1週間のプログラムを考え、実施しては評価を繰り返し、次週のプログラムにつなげた。
 他の子どもにも実施している心理社会的なアプローチも実施。子どもが飽きてしまわないように「遊びながら」を心がけ、国家や国家英雄を扱った映画鑑賞、統一国家インドネシア(NKRI)やパンチャシラ(国家5原則)、多様性を認める国是、正しい宗教への理解を深める特別メニューを取り入れた。
 受け入れ後1~2カ月ほどで7人はみるみる改善。ネネンさんは「今ではケンタッキーも食べたいと言っている。101人いる子どもたちの中でも7人は特に素晴らしい」と目を見張る。
 当初は音楽を聴くことを「罪」と感じ、踊ることも嫌がっていたが、今では活発に体を動かすようになり、毎週金曜のスポーツも楽しんでいる。「異教徒」と思っていた職員ともイスラムのあいさつを交わせるようになった。
 施設では、掃除、洗濯を当番制で行うなど自立を支援し、将来の社会復帰に向けたロールプレイングも採用。手工芸など低予算でできる技術のワークショップができる専門家を探している。
 ネネンさんによると、7人の子どもたちは学校に行きたいと話し、イスラム寄宿学校(プサントレン)での暮らしを希望し、世間の子どもたちのような暮らしを思い描いているという。
 同市などは「周辺には被害者やその遺族がいるので、(7人の帰郷は)非常にセンシティブな問題」との見方を示している。現在も各方面から意見を聞き、最善策を協議している。(中島昭浩、写真も)

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