防潮堤に故郷思う 現地記者が東北の被災地訪問 中部スラウェシ震災5カ月

 昨年9月の中部スラウェシ震災から28日で5カ月が経った。中部スラウェシ州パル市出身の現地新聞記者がこのほど、日本の被災自治体の取り組みを知るために東日本大震災被災地を訪問。津波対策として建設が進む防潮堤を目にし、8年経った今も復興作業が続く様子に驚き、震災を忘れないための取り組みや自治体と住民との対話の必要性を強く感じている。 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)遺産緊急基金を通じ、パル市の現地紙ラダル・スルテンの記者ヌル・ソイマ・ウルファ(通称ウキ)さん(32)が1月の10日間、岩手県や宮城県内の被災地などを回った。日本は初めて。2月中旬までにこの体験を10回にわたる連載で伝えた。  
 大きな津波被害を受け、死者1500人超、約8千世帯のうち半数が全・半壊した岩手県陸前高田市では、建物がほぼ何もない沿岸部に工事用車両がたたずむ光景が広がっていた。建設中の高さ4~6メートルの防潮堤を見て「死んだ街」と、震災後8年経っても復興途上の現状に驚く。「液状化もあったパル市ではさらに時間がかかるのではないか」。中部スラウェシ震災の復興期間は2020年までの予定だ。
 インドネシア人技能実習生も多く暮らす宮城県気仙沼市は建物も多く、水産工場や「気仙沼シャークミュージアム」もあり「まだ生きている街」との印象を持った。カツオ水揚げ全国一で知られる港付近の防潮堤の高さをめぐり「漁師の町の経済が破綻する」「観光産業に影響が出る」と住民から反対意見が出たため、市側と議論を続け、6年経ってやっと着工した経緯があり、「私たちにも自治体と住民側の対話が早急に必要」と話す。
 各地のメモリアル公園のほか、東京の国立国会図書館では東日本大震災データベース「ひなぎく」で写真や動画で被災地の過去と現在を保存する取り組みを知った。宮城県の地方紙河北新報社は、震災後から現在まで紙面に死者・行方不明者数を掲載。震災を後世に残す活動に感心した。
 訪問を終え「日本の被災地は震災を忘れない努力を続けている」とウキさん。中部スラウェシの復興は、ハード面よりも防災教育や啓蒙活動に注力してほしいと期待する。防潮堤でなく低地の宅地を高台に移転し、かさ上げすることを選んだ宮城県女川町を例に挙げた。
 中部スラウェシ震災の復興計画をめぐっては、国際協力機構(JICA)が1月から復興技術協力を開始している。同州政府発表では、22日までに公共事業国民住宅省の仮設住宅507棟(6084世帯分)と災害支援非政府組織(NGO)が建てた仮設住宅3288戸が完成。計2万2676世帯分が必要とされており、先は長い。(中島昭浩)

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