「早めに施設に移せていれば…」 ワニに襲われ女性死亡 飼育関与の邦人悔やむ

 「ワニを早めに保護施設に移すことができていれば……」。北スラウェシ州ミナハサ県ラノワンコ村でことし1月11日に、飼育されていたワニに襲われたとみられる地元の女性デーシさん(44)の遺体が見つかった事故。このワニの飼育に関わっていた三重県の自営業落合雅人さん(56)が27日までに、じゃかるた新聞の取材に応じ、家族ぐるみで交流のあったデーシさんの死に、悔しさをにじませた。

 落合さんは1988年から2010年ごろまで、北スラウェシ州を中心に真珠貝の種苗の生産・研究に携わっていた。
 「あのワニは26~27年前に、当時の勤務先の(同州)ビトゥンの日系真珠会社に子どもが売りに来ました。体長50センチで、口には釣り針による傷がありました。種類はブアヤ・ムアラ(イリエワニ)。私は以前オーストラリアにいたことがあり、ワニの生態について知識があったので、保護するつもりで飼い始めました。雄だったが、メリーと名付けました」と当時をふり返る。
 落合さんは99年、ラノワンコ村に真珠貝の種苗を生産・研究する会社を立ち上げた。体重300キロほどに育っていたメリーは、会社にあった最大幅十数メートルの研究用の池に移された。
 会社は2010年ぐらいに解散したが、ビトゥンの会社の同僚だったデーシさんの家族が事業を継続。落合さんは日本とインドネシアを行き来しながら、相談に乗っていた。メリーの餌やりなどの世話はデーシさんが行っていたという。
 「デーシは犬などにしゃべりかけるなど、動物とコミュニケーションを取るのが上手。彼女が呼ぶと寄ってくるほど、メリーは懐いていました」と落合さん。記者に見せたビデオには、デーシさんが投げ与える鶏肉を、巧みに口で受け止めるメリーが写っていた。
 落合さんがビデオを撮影したのは1月5日。「改めてビデオを見ると、デーシは楽しそうに餌やってますね。無念さがこみ上げてきます」
 事故が起きたとみられるのは同月10日とみられる。北マルク州に行っていた落合さんは携帯電話のSMSでデーシさんと連絡が取れなくなったことを心配し、自分の元運転手に連絡。11日朝、デーシさんの遺体の上半身が飼育池にあるのが見つかった。
 落合さんは「池の底から縁までの高さは約3メートル。よほどのぞき込むなどしなければ、落ちることはない。餌は通常、10日間隔ぐらいで与えるので、10日に池に近づく理由がない」と、釈然としない思いを抱えている。
 「書類上、私はワニの所有者ではないが、飼育者となっていました。昨年8月に自然資源保護センター(BKSDA)から、飼育場所が不適切だとの指摘があり、保護施設への移送のため職員約10人ほどが来ましたが、体重400~500キロ、体長4・5~5メートルほどと大き過ぎて運び出せませんでした」
 「もっと早くデーシと相談し、対処していたら、こんな事故は起きていなかったのでは」と落合さん。違法飼育の疑いで地元警察に書類送検されたと語った。(米元文秋)

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