ジャカルタにマングローブの森 アンケカプック自然観光公園 ゆったりバードウオッチング

 北ジャカルタ区のアンケカプック自然観光公園。都心から少し離れたジャカルタ湾沿岸にあり、マングローブがうっそうと茂る園内を歩くと、最大都市ジャカルタの生活で忘れがちになる「南国の大国にいる」ということを思い出させてくれる。最近は、ウエディングフォトの撮影スポットとして有名になり、週末は多くの人が訪れにぎわう。来園者だけでなく、60種以上の水鳥が足を休める憩いの場となっており、バードウオッチングにもおススメ。

 広さ99・82ヘクタール。同行してくれたガイドのレシジャティ・ワシト(通称ジャティ)さん(60)によると、マングローブの数は正確な数字は分からないが、数千から万単位である。種類はヒルギダマシやヤエヤマヒルギ、ハマザクロ、シマシラキ、ミミモチシダなど。来園者も1本15万ルピアで植樹が可能で、植えられた苗木のそばには遺贈者の名前が記された看板が立っている。
 水鳥の写真を撮りたいとお願いすると、園で最も沿岸部寄りのスポットを案内してくれた。遊歩道は竹で組まれ、1人がやっと通れるほどの細さ。ところどころ途切れていて、地面も歩いた。ぬかるみのように足が埋まることはなかったが、滑りやすいので注意が必要。運動靴を推奨する。蚊も多く、靴下や長袖の上着、虫除けスプレーなどの対策もお忘れなく。ジャティさんは「ここの蚊にさされてもデング熱にはならないよ」と言うが……。
 「チェカケック、チェカケック、チェカケック」。ジャティさんが、体長24センチ前後のカワセミの仲間、チェカケック(ナンヨショウビン)の鳴き声をまねする。残念ながらこの日は、青緑色の背や羽に白い胸部の対比が美しい姿を見ることはできなかったが、ゴイサギやコサギ、アマサギ、アジアヘビウなどが観賞できた。沿岸部を1周して戻ると、入った場所にはなかった「職員以外進入禁止」の立て看板。ジャティさんは「ガイドが付いていれば大丈夫」と笑った。
 園はオランダ植民地時代の1939年6月に自然林地区に指定された。97年から民間ムリンドラ・カルヤ・レエスタリ社が管理。2002年ごろまでエビの養殖のために周辺の漁師にマングローブが破壊されるなどしていたため、環境保全、再生に取り組み、09年までにほぼ現在の自然観光公園となった。以降も植樹活動は続けられている。
 ジャティさんによれば、土地は環境林業省の所有で、園全体が環境保全地域に指定されている。漁やごみの投棄が禁止されており、違反者には禁錮や罰金の刑罰が適用される。漁は規制できたものの、園内沿岸部には飲み物に使われるプラスチックの小容器やスナック菓子の袋などが絶えずジャカルタ湾から漂着しており、せっかくのリフレッシュ気分が台無し。職員15人と清掃員が毎日掃除しても追いつかないという。
 1泊45万(ACなし)~65万(AC付き)ルピアのロッジ(トイレ、浴場は共同)も備え、宿泊希望客にも対応できるが、広さ4・5畳ほどは手狭だろう。飲食スペースは、シーソーなどアスレチック遊具がある中心部の売店のみ。「インスタ映え」を狙いカラフルな傘や提灯が無数につるされたところも。
 ぶらりと売店近くを歩いていると、ウエディングドレスを着た新婦さんを見かけた。タキシードの新郎さんと写真撮影をしているところにお邪魔させてもらった。担当のカメラマンは「この公園はウエディングフォトでは最も人気がある場所の一つ。とてもフォトジェニック」と話した。
 開園時間は午前7時~午後6時。来場者は平日約200人、週末や祝日は千人を超える日もある。多くは家族連れやカップルで、都会の喧騒(けんそう)から解放され、マングローブの中でリラックスしに来るという。ジャティさんは「水鳥を見たり写真を撮影したりするなら朝と夕方がおススメ」と語った。(中島昭浩、写真も)

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