リゾート地、客足戻らず バンテン州 スンダ海峡津波から1カ月

 スンダ海峡津波は22日で発生から1カ月を迎える。ビラやコテージが立ち並ぶリゾート地、バンテン州アニェル、チャリタ両海岸では今も津波の影響が深刻で、被害を免れた宿泊施設にすら客足が戻っていない。長年観光業で生計を立ててきた地元住民は「他の仕事はない」と復興を願い、復旧作業に精を出す。

「津波被害ないのに」 アニェル

 津波から4週間が経った週末の19日、セラン県アニェル海岸はかつてのにぎやかさを失い、閑散としていた。
 同海岸で1973年から営業する宿泊施設「パトラ・コンフォート」もこの日の宿泊客はゼロ。津波が起きる前まで、週末には70室のビラの8割以上が埋まっていたという。受付マネジャーのユリアナ・サリさん(47)は「年末年始もキャンセルが相次ぎ、毎年恒例だった新年の花火やガラディナーも中止した」と肩を落とす。
 「アニェルではほとんどの宿泊施設が津波の被害を免れたのに、『スンダ海峡津波』『アニェル津波』と報道されたことで風評被害を受けている」
 「マルベラ・ホテル」の総支配人リリット・ウィリヤントさん(56)はそう訴える。4棟600室からなる9階建てのホテルは海岸から高さ4メートルの場所にあり、安全だとアピールするが、津波前は常に満室だった週末の客室稼働率は12%まで落ちた。
 ホテル・レストラン協会セラン県支部によると、アニェル・チナンカ両郡にある34軒の宿泊施設のうち、津波の被害を受けたのはわずか3軒。その他の施設は津波後も変わらず営業を続けているが、どこも客足が戻らないという。
 宿泊施設側は協力してこの状況を打開しようと努力している。12日には、各ホテルの従業員や地元住民、観光学科の学生らがアニェル海岸で動画撮影し、SNSで魅力を発信した。今後もイメージ回復に向けてアピールしていく考えだ。

「この場所で再建を」 チャリタ

 アニェルの南にあり、津波の影響が大きかったパンデグラン県チャリタ海岸の状況はさらに深刻だ。壊滅的な被害を受け、宿泊客7人が亡くなった「ビラ・タマロ」では再建の見通しも立たないまま、従業員たちががれきの片付けに追われていた。
 「全て取り壊すよう、オーナーに言われた。その後のことは分からない」。一家で住み込みで働くスハダさん(49)が話す。
 チャリタ海岸やタンジュンルスン海岸では宿泊客の多くが犠牲になったことを受け、州知事は将来的に宿泊施設を高台に移転させたい方針を示している。だがスハダさんの妻カルティニさん(38)は「お客さんはビーチを目当てにやってくるから、できればまたこの場所にビラを建てたい」。自身も口まで水に漬かったというが、「津波を恐れていては何もできない」と話す。
 チャリタ海岸からはスンダ海峡にあるアナック・クラカタウ山まで航路で約2時間で、船のツアーも人気だった。同山への船を出しているヘルマンさん(40)によれば、外国人観光客も多く、津波前は1日3~4船が出ていたという。
 噴火警戒が続く今も船上からの火山見学が可能だが、津波の不安で客が戻る見通しが立たない。それでも「他の仕事はない」と、仲間と共に津波で壊れた船や港の修繕に精を出す。
 林業公社が管理する海岸では、係員のヌヌン・スヘンダルさん(43)が1人たたずんでいた。かつて観光客相手にバナナボートを手配したり果物を売ったりする人でにぎわっていたという海岸に人影はない。「アチェは津波の後、1年閑散だったと聞いた。ここもそうなるんだろうか」(木村綾、写真も)

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