メダン「最も不衛生」 最高賞はスラバヤ 環境林業省表彰

 環境林業省(KLHK)はこのほど、各地のごみ処理や環境への取り組みを評価し表彰する「アディプラ賞」の受賞自治体を発表し、対象130自治体のうち、東ジャワ州スラバヤ市が最高賞に選ばれた。人口100万人以上の都市で最も低い評価となったのは、北スマトラ州メダン市だった。

 賞は1986年に創設され、2002年から毎年表彰を行っている。環境林業省によると、ごみ処理に関する取り組み戦略方針の有無、内容▽ごみ最終処分場で投棄積み上げ式の処分方法が取られていないか▽緑地公園やごみ箱など施設や設備の設置状況——の3項目をチェック、17~18年の取り組みを実地評価した。
 発展都市(人口100万人以上)、大都市(同50万以上100万人未満)、中規模都市(同10万人以上50万人未満)小規模都市(同10万人未満)のカテゴリーごとに順位付けしている。
 スラバヤ市は、12年の最高賞「アディプラ・クンチャナ」創設以降、7回連続で受賞。同省の総評では「持続可能な発展都市」と賞賛された。
 市民の約6割がごみ銀行や家庭用生ごみ処理器、3R(リデュース、リユース、リサイクル)処理場などの施設を通じてごみの管理処理を実施。18年4月に開業した、プラスチックごみなどと引き替えにもらえるチケットで乗車できる「バス・スロボヨ」など先進的な取り組みも高評価につながった。市内のブノウォ最終処分場(TPA)は、ごみメタンガスから2千キロワット(KW)を発電するほか、管理埋め立て技術も確立し、19年に熱分解技術を活用したごみ発電施設が完成予定。
 市内では、コンポスト(堆肥)研究者の高倉弘二さんが現地の主婦と協力して04年に開発した「高倉式コンポスト技術(タカクラ・メソッド)」が普及。「タカクラ・バスケット」の名で親しまれ、生ごみを堆肥にする文化が根付いている。堆肥は市内の緑化にも一役買っている。
 市公園・清掃局長などを務めたトリ・リスマハリニ市長は16日、市庁舎前の公園で受賞報告式典を開き「市のプログラムを支援してくれた全ての人に感謝する。受賞したからといって立ち止まるわけにはいかない」と前を見据えた。
 一方、アディプラ賞を管轄するノフリザル・タハル同省ごみ管理監督局長は、最低評価のメダン市について「1日1200~1300トンのごみが、トゥルジュン最終処分場(同市メダン・マレラン郡)では、埋め立てられることなく投棄積み上げ方式で処分され、ごみ山ができている。野焼きもある」と説明する。
 オープンダンプと呼ばれるこの方式は、ハエが大量発生したり悪臭を放ったりするなど、衛生環境が劣悪とされる。市内の露店や市場、住宅地でも似た惨状で「ごみ収集の効率は悪く、自立したごみの管理体制ができていない」と評した。
 メダン市は今後、最低でも同処分場で、埋め立て地の底部に排水管を設置し、ごみを処理する衛生埋め立てを実施する。収容能力限界に達しているため、13年に閉鎖した南部のもう一つの処分場の運営許可を再取得する方針。午前6~9時にごみ清掃員を配備し、ポイ捨てをやめるよう市民に促す啓蒙活動も展開する計画だ。
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は17年、ごみ管理の国家戦略方針に関する大統領令を発令。25年までにごみを30%軽減し、70%を管理処分するための地域方針を18年10月までに策定するよう県・市レベルの各自治体に求めていたが、自治体の一部は未策定だったという。(中島昭浩)

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