「無実、早く出たい」 邦人社長 入管法違反を否定 パプア獄中インタビュー
パプア州ナビレ県内の金採掘地域などで6月に出入国管理当局に摘発され、今月12日に出入国管理法違反(資格外活動)で禁錮5月15日と罰金1千万ルピアの判決を受けた4邦人の一人、東京都内のA社長(51)が30日までに勾留先のナビレ刑務所でじゃかるた新聞のインタビューに応じた。「無実だ。早く(刑務所から)出たい」と訴え、6月以降の半年以上に及ぶ長期拘束は不当だと指摘した。
A社長は、「金の埋蔵量がすごい」という人の話に関心を持ち、2016年に初めて訪れたと明かす。しかし、現場は当局の「ライセンス乱発」で「ぐちゃぐちゃの構図」となっていたと説明。「(話をした人の)ライセンスが偽物だったと発覚した。本当の試掘ライセンスを持っている人にアクセスし、お願いしてインベスター(投資家)ビザを取った」と言う。
ところがことし6月7日、「投資家ビザで現地を確認しに行ったところ」、ナビレ県東部ラガリでミミカ入管事務所(同州ティミカ)に摘発された。
翌8日には同入管が、邦人4人のパスポートを押収。投資家としての暫定滞在許可証(KITAS)を持っていたA社長ら2人には、就労許可(IMTA)にパプア州が記載されていないこと、到着ビザ(VOA)で入国していた、ほかの2人には、不法就労を、それぞれ指摘したという。
しかし、A社長は「道を走っていて捕まった。『何でだ?』という話。(不法に)働いていたという認識はない。意識していないところで、無罪で捕まっている。早く出たい」と語る。
入管の捜査については「ここはビアク(入管事務所)の管轄なのにティミカが来ている。違法だろう。取り調べに警察官が立ち会っていないのも違法だ。弁護士が訴えを出したが、判決では却下された」と批判する。捜査の背景を「そのエリアで違法マイニングをしている会社が、チクったのでは」と推測する。
結局、採掘地域などで摘発された邦人4人のほか、中国人16人、韓国人1人の計21人が、入管法122条a号「滞在資格の意図的不正使用、または趣旨や目的にそぐわない活動の実行」があったとしてナビレ地裁に起訴された。いずれも禁錮5月15日と罰金が言い渡された。
一方、ナビレ地検は、21人のうちA社長ら投資家KITASを持っていた邦人2人だけをジャヤプラ高裁に控訴した。
A社長は「(刑期が)5カ月で終わらない可能性がある」と危惧する。検察が邦人2人だけにより重い刑を求める理由については「説明がない」と述べた。「中国人の中にも投資家ビザを持っている人がいたらしい」とも述べ、同じ投資家の滞在資格なのに邦人2人だけが控訴されたのでは、との不信感を示した。
刑期に算入される未決勾留期間についても「ティミカ(入管)で3カ月。ここ(ナビレ刑務所)に来て3カ月たっている。合計6カ月以上。もう解放されてもいいはずだ。入管は71日間としているらしいが、本来(入管で)拘束できない日数だ」と疑問を呈する。
A社長はポロシャツに短パン姿。頭髪に白い物が交じる。刑務所長らが立ち会う中だが、落ち着いた口調で主張を述べた。
健康状態については「調子がいいとは言えない。半年、まともに飯を食っていないので、免疫力が下がり、すぐに風邪を引いて、なかなか治らない」と話した。(米元文秋、写真も)