「お返しがしたい」 パルからスンダ海峡へ
地震、津波、液状化現象被害で3千人を超す死者・行方不明者を出した災害があった中部スラウェシ州パル市で、スンダ海峡津波の被災地支援募金活動が草の根レベルで始まっている。活動する被災者は「私たちが被災した時にランプンもバンテンの人たちが支援してくれたのでお返しがしたい」と口をそろえ、必死に声を上げている。
「パルはすでにたくさんの支援を受けました。私たちと同じように津波にあった人たちがいます! 募金お願いします」。白いメガホンで信号待ちの運転手に呼びかける大学生。
パル市のタドゥラコ大学人道支援ボランティアサークルの15人だ。代表のイリアスさん(24)は「パリギの出身だが大学に行くためパルに住んでいる。募金活動をしている15人ぐらいの中には家族を失った人が5人いるが、今回参加している。みんなテレビやスマホの動画を見て、ここに津波が来た日を思い出していてもたってもいられず、何か行動したい、お返ししたいと立ち上がった」。自身、観光名所だったタリセ海岸を津波が襲った後、遺体搬出作業を手伝った経験が頭をよぎった。
24日夜は約370万ルピア、25日は夕方だけで700万ルピアが集まった。被災した経験から、現場で必要なものに使ってもらうため、つながりのある団体へ物資でなく集まった資金を送る予定という。
同大パンク音楽コミュニティーの学生11人はパシャ(シギット・プルノモ現パル副市長)がボーカルを務めた人気バンド「ウング」の復興応援ソング「バク・ジャガ」に乗せ、「互いに支援し合おう」と呼び掛けた。南パル郡トワドゥア在住のモハマド・フィリクさん(22)は「少しでも力になれれば」と語った。(中島昭浩、写真も)