「銃撃、死んだふり」 パプアの労働者集団殺害 恐怖の瞬間、生存者証言
「地面に倒れ、死んだふりをした」――。パプア州の山間部で武装集団が多数の建設労働者を殺害した事件で、九死に一生を得て国軍などに救出された労働者が、恐怖の瞬間を証言した。陸軍チェンドラワシ軍管区の司令部報道部長の説明する証言内容として、コンパスコムが5日、報じた。
事件の発端となったのは1日。労働者のジミー・アリトナンさんが加わっていた同州ンドゥガ県にあるトランス・パプア(パプア横断道路)の橋の建設工事は休みとなった。パプア地方の独立を目指す武装集団、自由パプア運動民族解放軍(TPNOPM)の創設記念日に当たるためだ。「武装犯罪集団」が記念式典を催し、地元民と一緒に石を焼く儀式で盛り上がるという。
「午後3時ごろ武装集団が建設現場の宿舎にやって来て、従業員25人全員に外に出るように命令、手を縛って連行した。集団は約50人、さまざまな軍用武器を持って見張っていた」
2日、丘に向かう途中で、武装集団は徒歩で連行してきた労働者を5列に並べた。
「まもなく武装集団は歓喜して踊り回り、パプア奥地特有の叫び声を上げ、労働者たちに発砲した。何人かはすぐに死んだが、地面に倒れて死んだふりをしている者もいた」
武装集団は犠牲者を放置し、丘の上の方へ向かった。死んだふりをしていた労働者は11人おり、逃げようとして起き上がった。
「それを武装集団が見つけて追いかけ、うち5人を捕まえて殺害。残りがンブアの方へ逃げ、ジミーさんを含む4人がンブアの陸軍詰め所に保護された。2人は行方不明だ」
3日未明にはその詰め所が武装集団に攻撃された。銃のほか、弓矢ややりを持っている者もいた。
「彼らは生存者を追跡してきたようだった。攻撃は投石で始まり、兵士1人が窓を開けたところを射殺された」「兵士たちが反撃、銃撃戦はインドネシア東部時間午前5時から午後9時まで続いた。指揮官は地形などが不利とみて東部時間4日午前1時に、防御に有利な場所を求めて撤退することを決めた。そのとき、もう1人の兵士が腕を撃たれた」
4日朝には国軍・警察合同部隊がンブアを制圧、生存者らを救出したという。(米元文秋)