「水草で川浄化」試験 5年前には除草 北ジャカルタ区
北ジャカルタ区タンジュンプリオク郡パパンゴにあるチンチン池の支流でこのほど、水質浄化作用がある水草のホテイアオイを使った河川の浄化試験が始まった。中央ジャカルタ区クマヨランのアジア大会・アジアパラゲーム選手村の裏のセンティオン川で悪臭問題が再燃しており、効果を検証することが目的。池には以前も繁殖力の強いこの水草があふれ、支流と合わせて2014年にしゅんせつ工事で除草された経緯があり、周辺住民は試験に首を傾げている。
4日午後、試験が行われている場所を訪ねた。北ジャカルタ区の作業員によると、1日に東ジャカルタ区チャクンからホテイアオイを運んできた。川面の約70平方メートルと約35平方メートルの区画に水草を放り込んだだけだが、すでに効果が現れているという。
近所に1991年から住むアンコット(乗り合いバス)運転手の男性(47)は「以前は一面にホテイアオイがあり、支流の水もきれいだった」と話す。
今は、約3メートル眼下の川面に黒いヘドロが浮かび、水は白濁している。
「水草は異常に繁殖したため5年ほど前に除草したのに、なぜ今になってと思う。今は家庭排水が流れ込んでいるから汚れてしまった」と経過を振り返った。
北ジャカルタ区は、試験結果を見てセンティオン川にホテイアオイを植える計画。試験は長期間になる見込みという。
センティオン川は「カリ・イテム(黒い川)」と呼ばれるほど水が黒く、8月のアジア大会開幕前はドブ臭さが鼻をついた。豆腐工場や家庭排水が流れ込んでいるためで、国のイメージが損なわれないよう、日光による水の蒸発を防ぐ、目の細かい黒い網で川を覆い、水を浄化するマイクロバブル発生装置を投入し、その場をしのいだ。しかし、10月のアジアパラゲーム後は放置され、悪臭問題が再燃した。
ホテイアオイは水質浄化作用があるが、繁殖力が強く、管理が難しい。南米原産で、国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれており、日本は要注意外来生物に指定している。(中島昭浩、写真も)