ジャカルタ各地で洪水 知事「河川再生を」 東部で1メートル
ジャカルタ特別州内各地で3日、大雨の影響で洪水が発生した。アニス・バスウェダン州知事は、現在進行中のしゅんせつ工事に加え、日本やシンガポールを手本に河川本来のシステムを再生させる自然再生事業を進める考えを示し「引き続き対策を進めていく」と強調した。地元メディアが報じた。
3日は昼ごろから午後6時半すぎまで雨が降り続いた。各地の洪水の高さは、東ジャカルタ区チャクンのラワテラテで最大1メートル、ドゥレン・サウィットでは約50センチに達した。西ジャカルタ区のクボンジュルックやスリピ、西タンジュンドゥレンでは20センチ、グロゴル25センチ。南ジャカルタ区では西チランダック付近のTBシマトゥパン通り20センチ、北ジャカルタ区クラパガディンのプガンサアン通りで20センチとなった。
アニス州知事は17年10月中旬の就任直後から、チリウン川やクルクット川、グロゴル川などで川底を低くするなどの対策に取り組んできた。今後は「東京やシンガポール、シドニーのように、土地はなくとも自然再生事業なら継続することができる」との認識を表明。しゅんせつ工事や自然再生事業は河川だけでなく、調整池やダムについても実施する考え。
2017年以降、ジャカルタで最も大きなチリウン川のしゅんせつ工事のための用地収用は、予算の関係で停止している。特別州水資源総局のテグ・ヘンドラワン局長は、州予算からしゅんせつ工事と用地収用向けに計1億7500万ルピアを転用すると説明。アニス州知事は「対策を続けていく。今後、問題が起きないよう願う」と述べている。
しゅんせつ工事をめぐっては、用地収用が長期化。しゅんせつ予定地の住民は州から補償金を受け取り、指定された州営賃貸集合住宅(ルスナワ)へ移転させるが「補償金が少ない」「生活が変わるので移転したくない」との声が多く、違法住居の強制撤去で対策を断行したアホック元州知事時代から問題になっていた。アニス知事は「強制撤去ゼロ」を掲げて当選している。(中島昭浩)