難民による難民のための学校 ボゴールで暮らす
国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)インドネシアによると、インドネシアに暮らす難民・亡命者約1万3800人のうち約25%は未成年だ。他方、第三国定住が決まるまでには3~4年、長ければ5~6年を要する。就学年齢の子どもも数年間はインドネシアで暮らし、その後、英語圏などの第三国へと旅立たなければならない。
このような子どもたちの学習を支援する施設が西ジャワ州ボゴールの観光地、プンチャックにいくつかある。難民による難民のための学校、「チサルア・レフュジー・ラーニングセンター(CRLC)」もその一つだ。
学校のあるプンチャックは標高が高く、涼しい気候の観光地として知られる。アラブ人など多くの外国人観光客が行き交うこの地では、アラブ人やアフガニスタン人も比較的目立つことなく、また安い物価で暮らせるため、多くの難民が身を寄せている。
CRLCはアフガンやパキスタン、イランなどを出自に持つ5~17歳の約100人が、英語で算数や美術、社会科、科学などを学ぶ。子どもだけでなく、経営を行うのも、教えるのも、自らが第三国定住を待つ難民だ。また、アフガニスタンなどの祖国で教育の機会に恵まれなかった女性たちにも、第三国へ行った際に困らないよう、英語を教える。
オーストラリア人映画監督のジョルヨン・ホフ氏が「当局に頼らず、自分たちで自立して学校を作りたい」というアフガン難民の友人を支援、同地に家を借りて2014年8月から活動を始めた。
資金源は主にオーストラリアの個人による寄付金だ。ホフ氏が撮影した、CRLCの短編ドキュメンタリーがオーストラリア各地で放映されていることもあり、同国に広く支援者がいるという。
CRLCで学んで2年になるという、アフガニスタン・ガズニー州出身のシャフィカ・モハンミダさん(18)は「英語や美術が好き」と話す。母親も別の学校に通っており、「ボゴールに来て、母は生まれて初めて学校に行き、勉強を始めた。母は本当に英語を勉強するのを楽しんでいる」と目を輝かせた。 (おわり)(坂田優菜、写真も)