【難民回廊②】豪が支援カット 収容所前から消えた難民

 ことし3月、オーストラリア政府はこれまで約18年間続けてきた国際移住機関(IOM)インドネシアへの支援を一部停止すると発表した。
 インドネシアで難民は、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)に登録することでその滞在を許されているが、就労は原則許されない。手持ちの資金や家族からの仕送りが途絶えれば、その先の1か月をどう乗り切るのか、それも分からない人々もいる。
 IOMはインドネシア出入国管理局と協力し、こうした人々への住居・生活費の支援、第三国定住へ向けた英語教室や職業訓練などの支援を、これまで2万5千人近くに行ってきた。これを支えてきたのが、IOMインドネシア最大のドナーであるオーストラリア政府だった。
 出入国管理局職員によると、「入管に行けば生活支援を受けられる」と聞いてやってきた、金銭的余裕のない「収容待ち」の難民は、2017年11月ごろから徐々に増えはじめ、路上に100人以上が生活している時期もあった。同収容所の定員は約90人だが、2月初旬の収容者人数は450人を越えた。約半数は不法滞在者などで、残りが難民。その過半数をアフガン人が占めていた。
 しかし、オーストラリア政府が3月に予算カットを発表したことで、資金源を断たれたIOMも新規の生活支援の停止を発表。支援を受けられないと知った人々は収容所前から徐々に姿を消していった。
 IOMの支援を受ける人は現在、国内に約8400人。ジャカルタ首都圏、南スラウェシ州マカッサル、北スマトラ州メダンなど国内8カ所に拠点を持ち、難民の生活を支援する。
 国内にいる難民の55%を占めるのがアフガニスタン人、11%がソマリア、イラクの6%が続く。彼らの中には、パスポートを持ち、合法的に入国した者もいれば、ボートなどで密入国した者もいる。仲介業者に連れられて来た人や知人を頼りに来た人、マレーシアなどへ行くつもりがスマトラ島に流されたり、インドネシア行きの船に保護されたりした人など、インドネシアにたどり着いた経緯はさまざまだが、インドネシアは難民に「定住」を許可していない。
 「インドネシアじゃ働けない、人間らしく生きられない」。こう訴えてくる若者は1人や2人ではなかった。(坂田優菜、写真も、つづく)

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