GDP成長率5.17% 通貨安、投資減響き 第3四半期統計

 中央統計局(BPS)は5日、第3四半期(7〜9月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比で5・17%だったと発表した。通年目標では5・2%を掲げているが、達成に向けて厳しい状況が続きそうだ。来年以降に関しても通貨安や、政府によるインフラ向け支出の伸び悩みなどの問題がくすぶる。

 レバラン(断食月明け大祭)を迎えた第2四半期(4〜6月)には公務員とその退職者に支払う賞与が増額されたこともあり、個人消費が上振れ成長率は同5・27%を記録した。これには「バラマキ政策」という異論もあり、第3四半期に関しては消費はやや冷え込んでいる感がある。
 世界経済の現状では、米連邦準備理事会(FRB)の利上げや米中貿易摩擦を背景に、新興国の金融市場からの資金流出が一般的な傾向となっている。第3四半期は外国からの直接投資(FDI)で前年比20・2%減を記録。企業・投資家による様子見の姿勢が顕著となった。国債や株式に関しても、じりじりと売り圧力が強まっていくことへの警戒感が金融市場で広がっている。
 スリ・ムルヤニ財務相ら経済閣僚は2018年年間のGDP成長率について、当初目標の5・4%から下方修正して、5・2%程度が妥当だという考えを示している。達成できなかった場合、19年の大統領選で争うプラボウォ陣営が、従来から展開している貿易赤字や経済政策への批判を強めていくことが考えられる。

■強まる内向き姿勢
 また、ルピアの対ドル相場が1万5千ルピア周辺で動く状況が続き、輸入コストの上昇などが企業活動に影響を及ぼしている。輸出も伸びてはいるが、収支では赤字基調だ。「通貨安は本来は完成車輸出のプラス要因という面もあるが、部品の現地調達率が低い製品ではコスト増につながるという複雑さがある」(日系自動車メーカー幹部)という意見があるように、苦慮している企業も多い。
 通貨安の一方で原油価格が上昇している中でも、政府は極力ガソリン燃料価格の値上げを抑えたい考えを示している。大統領選を控え、国民生活に直接響く物価に打撃を与えることへの懸念があるからだ。
 値上げができない中、国営石油・ガスプルタミナの財政状況は厳しさを増しており、18年予算では当初計画以上の補助金支出執行が確実になっている。
 値上げもたびたび議論されるが、「大統領選までは値上げはしない」(経済調整省幹部)という意見も根強い。そうした中、このほど国会で可決した19年予算ではインフラ開発予算が18年比1%増の415兆ルピアにとどまった。目玉政策だったインフラ開発よりも燃料向け補助金や、村落向けの補助金などを重視する姿勢が鮮明になった。再選に向けて選挙対策を優先した面が強いが、内向きな姿勢が強まると企業の投資が減少する可能性もある。(平野慧)

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