乗客家族ら憤り、涙・・・ ライオンエア墜落事故 「対応ひどい」 運輸省ら説明会
乗客乗員189人を乗せたライオンエア機の墜落事故で、運輸省と国家捜索救助隊(BASARNAS)、国家運輸安全委員会(KNKT)などは5日、搭乗者の家族約300人を前に説明会を開いた。事故発生1週間で身元が判明したのは14人のみ。帰りを待ち続ける家族からは「ライオンエアの対応はひどい」「政府はライオンエアに代わる航空便の就航を」などと怒りや悲しみ、不満が噴出した。
東ジャカルタ区チャワンのイビスホテルで開かれた説明会で、ブディ・カルヤ・スマディ運輸相とBASARNAS、KNKTの両トップ、国軍、警察病院の両幹部の計5人が捜索や事故調査の進ちょくを報告した。
ライオンエア側は創立者と社長、運営責任者が会場に居合わせたが登壇せず、質疑応答では家族から怒号が飛んだ。乗客で南バンカ検察庁検事のシャンディー・ジョハン・ラマダンさんの父親はライオンエア創立者を名指しし、「事故が起きてもライオンは同情するどころか、きょうまで電話一つなかった」「私たちは子どもを失ったんだ」と声を荒らげた。会場は共感の拍手に包まれた。
事故機は前日のバリ〜ジャカルタ便から機体に不具合があったとみられている。中部ジャワ州パティ県出身の乗客パンキ・プラダナ・スカンダルさん(29)の父親バンバンさんは「(バリ島)ングラライ空港から機体トラブルがあったとの情報は本当か。修理はきちんと行われていたのか」と問い詰め、「ライオンの技術者は責任を負う必要がある。100人以上の命なんだ」と涙し、声を震わせながら訴えた。
バンバンさんは「息子は出張で早朝パンカルピナンに出発せねばならず、ライオン以外の選択肢がなかった」と漏らした。他の乗客の家族からも「運輸大臣、別の航空会社を就航させてください」と政府に運航体制見直しを求める声が上がった。
「マスメディアに流す前に情報を教えて。私たちは直接知りたい」「ブラックボックス優先でなく早く家族を探して」——。質問を締め切った後も次々手が挙がったが多くは明確な回答を得られず、説明会は予定時間を約1時間半超過、約2時間50分にわたった。(木村綾、写真も)