慌てず「浮いて待て」 女性80人が受講 水難学会  

 水に落ちた際、靴や服を身につけたまま水面に浮いて救助を待つ方法「ういてまて(浮いて待て)」。普及に取り組む水難学会(新潟県長岡市)は31日、ジャカルタで指導員養成講習会を開いた。子を持つ母親や大学の研究員、国家捜索救助隊(BASARNAS)の隊員など、約80人のインドネシア人女性が参加した。
 「ういてまて」とは、靴の浮力を生かし、浮きやすい上半身と沈みやすい下半身の釣り合いを取りながら、仰向けの姿勢で顔を水から出すことで、呼吸を維持する「自己救助法」。同会会長の斎藤秀俊教授(長岡技術科学大学)や消防職員らが考え出し、2003年ごろから日本各地の小学校などで紹介されている。東日本大震災では、同方法を実践した人が助かった事例もある。   
 普及活動は海外でも始まり、インドネシアでは14年に初めてBASARNAS隊員を主な対象に講習を開催、今回は2回目、女性を対象にした。
 今後、子どもへの指導、口コミで広がることを期待する。
 斎藤会長は「これまで実施してきた7カ国・地域の中でインドネシアは最も反応が良く、早く普及している」と話す。参加者の中にはすでに自らSNSで同方法を拡散している人もいた。
 午前中は、共催のBASARNAS本庁で座学が行われ、浮かび上がる仕組みやあごを上げて姿勢を正すなどのコツを説明。中央ジャカルタ区スネンのプールでは学会の指導員、長岡高専の生徒などが指導に当たった。
 最初は足が沈んだり、支えられながら浮かんだりしていたが、次第に1人で長く浮かべる人が増えた。最後には事故現場を想定し、プールへ飛び込んで浮く練習や空のペットボトルを投げて「浮いて待てー!」と声を掛け合った。
 国内で普及活動を進めるBASARNAS隊員のドニー・フィルマンシャさん(35)は「津波や洪水など災害が多いインドネシアで『ういてまて』は命を守る一つの方法。15年以降は全国の小学校や中学校で紹介を続けている」と話した(上村夏美、写真も)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly