心労癒やすコーヒー店 パル 警官・軍人の憩いの場に
中部スラウェシ地震で被災した、パル市ハジ・ハユン通りにある1960年代創業のコーヒー店「ワルン・コピ・ハラパン・ラマ」が、営業全面再開に向けて活気づいている。コーヒーだけで再開した5日から3週間が過ぎ、自慢の焼き魚が近々再開できる見通しが立った。激務が続く中、昔から懇意にしていた警察官らは、店長や周辺住民と世間話をしながらの朝の一杯は格別の味、と心労を癒やしている。
初代店主は元軍人。昔から地元軍人や警察官が足しげく通っていたが、被災後1週間は店を閉じた。
2013年に父親が他界し店を継いだ3代目のアレックス・カンギンさん(52)は地震後親戚の元に家族と避難していたが、幸い店舗兼住居が無事で、電気なども復旧し、ストックも十分残っていたため、5日に再開した。「よく来ていた警察官や軍人さんの常連から無事を確認する連絡がたくさん入った。無事を伝えると早く再開してほしいと言われた」
中部スラウェシ州警察人材育成部のスマントリ氏(57)は、再開を楽しみにしていた常連のひとり。「早く開いてくれて良かった。サービスも良くて王様みたいな気持ちになれる。1、2分話してストレスフリーになれるよ。ここの焼きグルクマ(サバの仲間)がとてもおいしいんだ。あとは扇風機があれば最高だね」と上機嫌だ。
コーヒーは被災地のシギ県クラウィから仕入れる。パル市と結ぶ道路で土砂崩れがあり、支援物資の陸路輸送も困難な状態だったが、28日までに復旧した。アレックスさんは「トラジャコーヒーは今ではクラウィコーヒーがパッケージだけ変えて使われている。トラジャ出身の私が言うんだから間違いない」と自分が入れたコーヒーに太鼓判を押す。焼き魚は来週にでも再開する予定と話した。
パル市南パル郡の自宅から北部タワエリ郡の両親宅に避難しながら、救助活動や市内の巡回警備などに当たってきたソフィンさん(35)。「幸い家族は無事だった。コーヒーを飲む日課が戻ってきて、いつもの景色を見ることができ、トラウマも少し解消されてきた」と笑顔を見せた。 (中島昭浩、写真も)