焼いたのは強硬派の旗? NU自警団に抗議の動き 西ジャワ州ガルット
国内最大のイスラム団体で穏健派のナフダトゥール・ウラマ(NU)の自警組織バンセルのメンバーが22日に黒い布地にアラビア語が書かれた旗を燃やし、その動画がインターネット上で拡散され、物議を醸している。昨年政府により解散させられたイスラム強硬派団体ヒズブット・タフリル・インドネシア(HTI)の旗とされていたが、イスラムの一神教の概念を示す「タウヒッド」の旗とする見方が浮上。複数の団体がバンセルに対する抗議の動きを見せている。
地元メディアによると、拡散された動画は、西ジャワ州ガルット県で開かれた「サントリ(イスラム学生)の日」の記念集会で撮影された。
動画は2分間ほどで、バンセルメンバーとみられる黒い迷彩服を着た複数の男性が、アラビア語の書かれた黒い旗に火を付け、歌いながらメラプティ(国旗)を振った場面で終わる。
バンセルなどは会見を開き、実行した男性3人を特定したと発表。燃やした旗はHTIものだとし、行き過ぎた行動があったとして謝罪した。一方でHTI側は同団体の旗ではないと主張。複数のイスラム系団体からタウヒッドの旗への攻撃だとする指摘が出ている。
ウィラント政治・法務・治安調整相は23日、「燃やされたのはHTIの旗で、タウヒッドをめぐる文章が記載されていた」との見方を示し、事態収束へ向けNUや国家警察と協議する意向を示した。
サントリの日は、独立宣言後に上陸した英国軍に対し、ジハードに決起したムスリム兵士らの功績をたたえる日として、2015年にジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が制定した。(大野航太郎)