被災文化財を救え パルの博物館支援へ 修復専門家・坂本勇さん

 紙資料修復専門家でジャカルタ特別州立織物博物館特別研究員の坂本勇さん(70)が、中部スラウェシ地震被災地パル市にある州立博物館などの所蔵文化財の修復支援に乗り出す。

 2004年のスマトラ沖地震の津波で水浸しになったアチェ州の土地台帳の修復に取り組んだ坂本さんは、今回の地震の後、14日に織物博物館のスタッフとともにパル市に入り、18日まで博物館や図書館、公文書館などを調査した。
 地震による地盤の液状化現象で住宅地が壊滅したパル市バラロアから1キロ弱の市街地にある州立博物館では、天井が落ちたり、収蔵庫の棚が倒れたりし、保管していた陶磁器の約75%が破損していると推定された。
 坂本さんは「破損物の中には、この地域がオランダの支配下に入る以前に、ブギス人や中国人による交易でもたらされた貴重な陶磁器も含まれている。そのまま片付けたのでは、分類などが分からなくなる恐れがあるので、散乱しているエリアを確認した上で箱に収納する必要がある」と指摘。
 まずは、折りたたみ式コンテナ50個を現地に送り、資料の照合や修復に協力していく考えだ。
 坂本さんは現在、ジャワ島のワヤンベベル絵巻に用いられるカジノキの樹皮紙の研究に当たっている。
 「樹皮紙はオーストロネシア語族が太平洋・インド洋地域に拡散する際に伴った文化。中部スラウェシが製作手法の改良の舞台となった可能性があり、パルには08年以降、20回ほど通った。人類史の重要な舞台となったパルの貴重な資料を守る手助けをしたい」と話す。(米元文秋)

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