仮設住宅入居始まる 液状化被害のペトボ

 中部スラウェシ地震による液状化現象で180ヘクタール、2050戸の住宅が壊滅したパル市ペトボ。東方の高台では、家族や住まいを失った人々が避難生活を送るなか、2年先の移転を見据えて建てられた仮設住宅の引き渡しが始まった。

 仮設住宅の建設は中部ジャワ州政府が支援した。作業を指揮した同州災害対策局のスダルソノ・アグス部長(ロジスティクス担当)は「ムラピ山噴火の時には、ジャカルタや東ジャワ、バリ、スラウェシなど全国から支援があり、お世話になった。助け合わなくてはならない」と話す。
 同州災害対策局の職員70人らを派遣し、トタン屋根やベニヤ板を用いて簡易的な仮設住宅104戸を約10日間でほぼ完成させた。1戸当たりの大きさは12平方メートルで、1世帯に1戸。共同で使える電気や水道、トイレ、キッチンも整備を進めている。
 22日までに約15戸の入居が完了し、被災者は避難先のテントからカーペットや机などの荷物を運びこんだ。
 このテント村には現在、約400世帯が避難している。約300世帯は他の仮設住宅ができるのを待つしかない。地元町内会や避難者、中部ジャワ州らによるムシャワラ(話し合い)で、乳幼児や高齢者、夫を失った女性、けが人や病人がいる家庭の入居を優先させることにした。
 避難先のテントから21日に移った主婦のチチ・ジャヤンティさん(27)は、夫と長男(8)を亡くした。長女(6)と2人きりの避難生活で先が見えないが、21日夜に大雨が降り、「ここは雨もしのげて電気もある。少し落ち着けそう」と束の間の笑顔を見せた。
 ただ、中部スラウェシ州政府は、住宅再建と住民移転には「最長2年」かかるとしている。両親や兄と入居したタドゥラコ大学4年のキフリ・ラウィサさん(23)は「家は液状化でめちゃくちゃ。できるだけ早く移転して新しい家に落ち着きたいけれど、これから長い仮設暮らしが始まるんだろうか」と声を落とした。(木村綾、写真も)

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