「インドネシアに貢献したい」 三井物産の奨学基金 高校生2人が日本へ出発
「公益信託三井物産インドネシア奨学基金」の15期奨学生2人が26日、日本に向け出発した。それに先立ち壮行会が25日、中央ジャカルタのサリ・パンパシフィック・ホテルで開かれた。ダルマ・プルサダ大学で1カ月半にわたり日本語の研修を受けた2人は、来日後1年半、東京日本語教育センターで語学を学び、それぞれの志望大学を受験する。会場には同奨学生の家族や同窓生が駆け付けた。(小塩航大、写真も)
壮行会には、森松毅彦業務部長や在インドネシア日本大使館の本村宏明一等書記官、元日本留学生協会(プルサダ)のジャン・ロノ事務局長らが出席した。
ジャカルタ第8高校のダニスウォロ・スダルモ・ヌグロホさん(18)は「日本でたくさん友達を作りたい。大学で電気工学を勉強し、大学院を目指す。将来はインドネシアで会社を作りたい」と日本語で意気込みを語り、「行ってきます」と笑顔でスピーチを終えると、会場から拍手が起こった。ダニスウォロさんは中学生のときから独学で日本語を勉強しており、「常に未来を見据えて努力することが大切」と話した。
MH・タムリン高校のファウザニル・アズミ・イスカさん(18)も日本語でスピーチ。「京都大学で土木工学を勉強したい。大学卒業後は大学院に入りたい。将来はインドネシアに帰り、大統領になって、インドネシアのために貢献したい」と夢を語った。ファウザニルさんは今回初めて日本語を学んだという。
2人は競争倍率216倍の難関を突破し、全国からの応募者432人から選ばれた。ダルマ・プルサダ大学講師の秀江スタラクサナさんは「彼らはのみ込みがとても早く、教えがいがあった」、渡部すみ子さんは「日本に行っても頑張ってほしい」と感慨深げに語った。
奨学基金は1992年、日イの懸け橋となりインドネシアの発展に貢献する人材を育成することを目的に、三井物産が創設。日本語教育と大学の在学期間を合わせた計5年半にわたり、学費や生活費など1人につき約1400万円を支援。これまでの20年間で5億9千万円を拠出した。学生に返済義務はない。奨学生は今年の2人を含め、32人に達し、うち6人がこれまでに博士号を取得した。
卒業生は日本国内の企業やインドネシアの日系企業で働くなど活躍している。発足当初からプルサダが学生の選考、日本語研修で協力してきた。
今回OBとして壮行会に参加したマリオさん(第6期奨学生)は「後輩にはこの留学を大切に人生に生かしてほしい」と期待を寄せた。