通貨安も底堅い成長 18年経済展望 5.2%成長を予想 三菱UFJ銀江島支店長

 米国の利上げや米中貿易摩擦の激化で世界経済の先行き不透明感が高まる中、通貨ルピアはアジア通貨危機直後の1998年7月以来の安値水準まで下がっている。三菱UFJ銀行の江島大輔・執行役員ジャカルタ支店長は、じゃかるた新聞のインタビューに対し、「インフレ率は3%台で推移しており、為替や貿易収支対策を政府が打ちやすい状況にはある」と話し、引き続き底堅い成長が見込める見通しを示した。同行は2018年年間の実質国内総生産(GDP)成長率を5・2~5・3%と予想している。

 米国の利上げによる新興国からの資金還流の動きがあり、ルピアは年初来、対ドルで10%程度下落。9月に入り、おおむね1ドル=1万4700~4900ルピアの間を動いている。国際情勢を見ても新興国トルコやアルゼンチンの通貨が急落するなど、年始と比較して環境が急変している。江島支店長は「(貿易戦争の中)中国が輸出を伸ばすために人民元安を容認しており、ドル高に拍車をかけている」と話す。
 中央銀行が計4回、1・25%の政策金利の引き上げなど素早い対応を取ってきたことを評価。「9月上旬には10年物国債の価格も一時的に大きく下がっており、それを踏まえると短期金利についても調整する余地がある」と指摘する。
 足下の状況を見ると、引き続き資源価格がおおむね好調で商用車や建機など関係する分野も順調な業績を示している。二輪・四輪販売も回復傾向にある。中でも二輪は「年初予想よりも高い数字になる可能性がある」と話す。
 第2四半期のGDP成長率は5・27%。政府による賞与増額などもあり、個人消費が回復した。業種別では運輸・倉庫業が8・6%の伸びを示しており、「消費、物の動きが盛んということ」で良い兆候だという。「大きなマイナス傾向を示す業種がいくつか出ると注視する必要があるが、そういう状態ではない」とし、市場の高い期待には及ばないながら、緩やかなペースで成長が続いていくとの見解を示した。
 ただ、為替相場や原油高の影響を受けて貿易収支は悪化している。第2四半期の輸出が前年同期比7・7%増だったのに対して輸入は15・2%増。17年は貿易黒字が経常収支赤字縮小に一役買っていたが、ことしは赤字傾向が定着している。江島支店長は「一般的にはルピア安が進むと輸出が伸びると考えられるが、輸出企業も原料を輸入に頼る構造があり、国内調達比率が高いタイなどと比較すると単純ではない」と産業構造上の課題を指摘する。
 政府は5日に消費財など1147品目の輸入に関して、輸入業者が輸入時に前払いで支払う法人税を従来の2・5~7・5%から最大10%に上げると発表した。これに対しては「輸入全体に占める割合は5%程度で、経済に直接与える影響は限定的。ただ、企業のキャッシュフローの負担は増え、心理的に影響を与える」という見解を示した。
 銀行の貸し出しに関しては19年の大統領選挙を控え、様子を見守る動きが一般的で「企業の大型の設備投資は減少している」。インドネシアへの投資全体を見渡すと、中国からの投資金額が増えてきており、インフラ関係にとどまらず、日本企業を取り巻く「競争環境が激しくなってきている」と語った。(平野慧、写真も)

 えじま・だいすけ 1968年兵庫県西宮市生まれ。91年東京大学経済学部卒、三菱銀行(当時)入行。ニューヨーク支店長代理、国際企画部兼人事部グローバル人事室長、アジアオセアニア営業部副部長などを経て、18年1月から現職。

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