【スラマット・ジャラン】 「伸ばしがいある会社」 日産インドネシア社長 木村隆之さん

 日産モーター・インドネシア(NMI)社社長の木村隆之さん(四七)が先月末で二〇〇九年四月からの三年の任期を終えた。一日付でインドネシアを含むASEAN(東南アジア諸国連合)や豪州、ニュージーランド、韓国などを統括するアジア・パシフィック日産自動車の社長に就任。三日の社長交代式を最後にインドネシアをあとにする。

 本社のカルロス・ゴーン社長も在任中に二回来イし、先月には、世界に先駆け新興国戦略車のブランドとして「ダットサン」を復活させることをジャカルタで発表。年間生産能力は当初五万台だったのが、この三年で二十五万台までの道筋を付けた。日産がインドネシア事業に大きな期待を掛ける中での三年間となったが、就任当初、係長以上の約百四十人と面談し、「会社の力が分かり、成功を確信した」と木村さんは話す。
 リーマンショックの余波が覚めやらぬ時期のインドネシア赴任。〇九年六月に発表した二〇一三年までの中期経営計画では、〇八年に三万一千台だった年間販売台数を一一年までに四万台に引き上げる目標を示したが、昨年はそれを大幅に上回る五万七千台を達成した。
 〇八年に六位だった販売シェアを一一年に五位に、乗用車部門と首都圏の販売をそれぞれ五位から三位に押し上げ、二〇一二年三月までの一一年度は目標の六万台をクリア。国内市場が急成長を続ける中、全体の伸びを上回るペースで販売を拡大し、在任中に従業員数も七百人から千八百人に増えた。 
 「最初は六万台を掲げても本気で信じた人は少なかったと思う。しかし、今では十万台、二十万台の販売を疑う人はいない。今では目標を実現させていくノウハウを持っている」
 来年には一〇%のシェア(昨年は六・四%)を目指しており、「あと一年いれば達成すると確信しているので残りたいという気持ちもある」と後ろ髪を引かれる思いだが、アジア・パシフィック日産社長とタイ日産社長、中国を除くアジア大洋州・ASEANの事業統括の兼務という、より広い視野での任務に意欲を見せる。
 インドネシア在任中に新しく投入したのはマーチとジューク。マーチは赴任時にタイからの完成車輸入が決まっていたが、半年後にはインドネシアで造って売り出すようになった。
 昨年六月に発表したジュークは「赴任時にはまだインドネシアでは何も決まっていなかった」というが、「売れるという自信があった」とインドネシアでの販売を要請。当初の月間目標販売台数五百台の三倍以上となる千六百台を売るヒット車となった。
 「人はやさしいし、食べ物はおいしい」とインドネシアが好きになった木村さん。
 アジアを中心とした新興国が世界の主戦場となりつつある中、「若くやる気のある社員が多く、伸ばしがいのある会社。こちらの要求に応えてくれる人たちがいて、それが楽しかった。ちょうどモータリゼーションの加速度が付いている時期のインドネシアに来て、仕事をすることができて幸せだった」と振り返った。

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