中小との協業を推進 木下一会長に聞く 日本インドネシア経済協会

 日イ国交樹立60周年を迎えたことしは日本国内では東京を中心に式典・イベントが展開されているが、1998年に設立され、大阪で活動する日本インドネシア経済協会(JIBA)も地道なビジネスマッチング活動に注力している。インドネシアと関わって半世紀以上になる、JIBAの木下一会長に最近の動向を聞いた。

 ——JIBAの活動内容は。
 木下会長 ダイハツ工業など48社から成る法人会員と、13人の個人会員で構成されている。インドネシア総領事館と連携して、現地の法令などの制定、改定についてお知らせするなど企業のインドネシア投資をサポートしている。セミナーや懇親会など文化的な活動も実施している。
 ——近年の関西企業のインドネシア投資についての方向性は。
 70年代には繊維業や家電製造業などを中心に関西から多くの会社が進出した。時を経て現在は関西の有力企業の多くが東京に本社を集中させ、関西が地盤沈下する状況になっている。
 4月に着任した在大阪インドネシア総領事館のミルザ・ヌールヒダヤット総領事は大手企業の誘致ではなく、関西の中小企業を対象にしたビジネスマッチングに力を入れたいと考えている。中堅・中小企業が中心となるJIBAの理念と一致する。日本の中小企業とインドネシアの企業による合弁事業や技術支援の活発化に期待している。
 ——どういった分野での活躍が期待できるか。
 大阪府と東ジャワ州は姉妹都市交流を結んでいる。工業都市で大きな港があるという共通点がある。大阪府内では、東大阪市を中心として金属などの加工業が広がっており、日本屈指の技術を持つ企業も多い。
 また、インドネシアでは所得層の広がりに対応してマンションのニーズが高まっている。パナソニックホームズ(パナホーム)や大和ハウス工業といった関西の企業が住宅事業を進めている。サブコンストラクションなどを手がけてきた下請け企業にも商機がある。この住宅分野については、もしかしたら関西系の企業がけん引する可能性もある。
 ——技能実習生も関西で増加傾向にある。
 従来は中国、その次はベトナムからの技能実習生が多かった。ベトナムについては、手数料を取って日本に送り込むブローカーが介在することによるトラブルも発生している。
 これからはインドネシア人の技能実習生が増えていくと思う。ただ、ブローカーが入ることで、多額の借金をしてまでインドネシアから来る人が増えないようにするため、チェックする仕組み作りも重要だ。
 JIBAでも日本企業に実習生制度の仕組みや質の高い送り出し機関を紹介、ハラルや日中のお祈りの習慣、断食など独特の文化を理解してもらうための取り組みを続けていく。(大阪市内で、平野慧)

◇ きのした・はじめ 1964年インドネシアに初めて駐在。松下電器のインドネシア事業の立ち上げに関わる。70~78年ナショナル・ゴーベル社(現・パナソニック・マニュファクチャリング・インドネシア社)副社長。78~89年社長。86年インドネシア政府から開発功労勲章。退職後もバタム島開発庁アドバイザーなどを歴任。現在もJIBA会長と東ジャワ州政庁顧問を務める。82歳。

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