森林火災、煙害防げ パレンバン アジア大会へ対策強化
乾期のただ中のスマトラ島で13日に森林・泥炭地火災発生の指標となる高温地点(ホットスポット)が78カ所観測された。同島にはアジア大会の会場となる南スマトラ州パレンバン市があり、政府や経済界が対策に乗り出している。
国家防災庁(BNPB)ストポ・プルウォ・ヌグロホ報道官は短文投稿サイト「ツイッター」で、10~11日にジャカバリン・スポーツ・シティ(JSC)の選手宿泊施設周辺まで火の手が迫ったとする写真を公開。火災は鎮火したとしているが、アジア大会開催中の煙害を懸念する声も上がっている。
地元メディアによると、
国軍と警察は、周辺地域の火災によるパレンバン市への煙害を防ぐため、24時間態勢でモニタリングやパトロールをする。アレックス・ヌルディン南スマトラ州知事は3日、「国軍や警察、政府系組織から計7500人が動員され、400のタスクフォースが火災の警戒に当たる」と語った。
また、気象庁(BMKG)などによると、パレンバン市から300~800キロほどの距離にあるリアウ州では、11日に46地点、12日に55地点のホットスポットが観測されており、国内でも有数の多発地帯となっている。
リアウ州災害対策局(BPBD)や国軍、警察などで作るタスクフォースは11日、同州の2地点で、一度に大量の消火剤を投下する「ウォーター・ボム」搭載のヘリコプターを展開した。
同州BPBDのエドワル・サンガル局長は「放水よりも効率的な消火活動が行える。タスクフォースの連携を強化していく」と述べた。
大手財閥のシナール・マス・グループ社も国軍と協力し、森林・泥炭地火災対策を支援する。ガンディ・スリスティヤント取締役は3日、同グループが保有する森林・泥炭地について「アジア大会中は800人態勢で森林火災への警戒を行う」と話した。同グループの大手国内製紙会社アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は南スマトラ州での対策費用として1700億ルピアを拠出するという。
インドネシアでは1980年代ごろから野焼きなどによる大規模な森林・泥炭火災が問題化しており、政府は泥炭復興庁を設立するなどして、対策に乗り出している。(大野航太郎)