「家も、仕事もなくなった」 支援届かぬまま3日 ロンボク島マンガラ村

 観光地ギリ3島への船が出るバンサル港近くの山間部にある北ロンボク県マンガラ村。5日の地震で約200棟が全壊し、住民は近くにテントを立てて生活している。多くは甚大な被害を受けた対岸のギリ島で働き、観光業を生業にする。「家も、仕事もなくなった。どうすればいい」。7日、医療や食料など、必要な支援が届かないまま避難生活3日目を迎えた。     

 村の集落から100メートルほど離れた開けた場所に、ビニールシートで覆っただけのテントが数十並び、数百人が避難生活を送っている。中では8畳ほどのスペースに20人が身を寄せ合う。ギリトラワンガン島の旅行会社で働くニザル・ムラッドさん(29)は「家が壊れただけならよかった。だけど職も失った。ゼロから始めないと」と途方に暮れた。「トイレも飲料水もない。けが人だっている。こんな状態が1週間も続けば病気になる人が出てもおかしくない」
 ギリトラワンガン島のダイビングスクールで働くリス・ムフイスさん(32)の長男(8)は壁に挟まれて足をけがしたが、手当てを受けられず、木の枝を支えにして歩く。「昨日から政府や軍の車が通り過ぎるが、立ち止まってはくれない。テントは昼は熱く、夜は寒い。ここに長くは住めないし、ギリ島に戻って仕事ができるとも思わないよ」と嘆いた。
 避難者たちは各家から持ち寄った米や即席麺を分け合うが、いつまで持つかはわからない。建設業のマフルディンさん(52)は7日朝、即席麺インドミー5袋を20人で分け合った。「食事は1日1回。お金もないし、買い出しに行こうにもオートバイのガソリンが尽きてしまった」
 支援が届くのはいつになるか分からない。テントの外では、村の若者たちが段ボール箱を手に道路に立ち、募金を呼びかけた。国家防災庁(BNPB)の職員イルハムさん(23)もこの村に住む。「私の家も半壊した。防災庁の職員も被災者で、それぞれの家族がいる」とつぶやいた。(木村綾、写真も)

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