コモド国立公園で火災 20ヘクタール焼失 観光客を事情聴取 たばこ不始末が原因か
東、西ヌサトゥンガラ両州に広がる世界遺産のコモド国立公園内のギリラワダラット島で1日、推定10~20ヘクタールが燃える大規模火災があった。島を訪れた観光客のたばこの不始末が原因だった可能性があり、地元警察が事情を聴いている。政府は自然観光地での大火災を問題視し、観光客のマナーやツアー会社の責任を問う声も出ている。
コモド国立公園はコモド島と周辺の数十の島にまたがり、コモドドラゴンが生息する。このうち、ギリラワダラット島を含む第2地区管理責任者のガトット・クンチョロ・エディさんによると、1日午後6時ごろ、ツアーガイドから「島で火災が起きた」と通報があった。
島の大半はサバンナで、強風や乾期の影響もあり、火は瞬く間に広がった。国立公園の職員ら50人が出動し、通報から約9時間後の2日午前3時10分ごろにようやく鎮火したという。3日現在も、同島への観光客の立ち入りを禁止している。
ギリラワダラット島はコモド島からボートで約1時間、フローレス島ラブアンバジョから同2時間の場所にある無人島。丘から夕日を見るツアーなどが人気という。火災発生時は、インドネシア人観光客8人とツアーガイドらがいたが、けが人はなかった。この島にはコモドドラゴンはおらず、島に生息する鹿たちも無事だった。
警察は8人やツアー会社「インドネシア・ジュアラ・トリップ」から事情を聴いている。詳しい経緯は明らかになっていないが、ガトットさんによれば、観光客のたばこの不始末が出火原因の可能性があるとみて調べているという。
乾燥しているサバンナでは火事が起きやすく、同国立公園内での火気使用は禁じられている。今回の火災を受け、インターネットでは観光客のマナーやツアー会社の責任を問う声が相次いだ。
ギリラワダラット島は、政府が観光開発の優先10地域の一つに指定するラブアンバジョにも近く、政府も懸念を示した。アリフ・ヤフヤ観光相はドゥティックコムの取材に対し、「同じような事故が二度と起きてはならない。特にツアー会社に対しては、旅行者の案内において規律を守るよう求める」とコメント。シティ・ヌルバヤ環境林業相は火災原因を調査する方針を示し、「たばこのポイ捨てやたき火の不始末など、自然を壊すような愚かなまねはしないように」と強調した。(木村綾)