燃料値上げ延期 与党離反で民主党孤立 原油上昇幅適応案を可決

 国会は三十日、補助金付き石油燃料の値上げ案を盛り込んだ修正予算案の採決を行う本会議を開催した。連立与党が造反し、政府と国会予算委員会が承認した四月一日値上げ実施の原案はユドヨノ大統領の民主党を除く全与党が反対し、値上げは延期されることが決定。ゴルカル党主導の連立与党が提示した原油価格上昇幅に応じた値上げ実施案と、野党が主張する値上げ中止案の賛否を問う採決をめぐり、三十一日未明まで議論が紛糾。採決の結果、与党案が賛成三百五十六票、反対八十二票で可決された。国民所得の向上とインフレ率の低下から、長年財政の大きな負担となっていた補助金の増加抑制の絶好の機会とされてきたが、政府方針だった補助金付き燃料の値上げは先送りされ、実施時期はあらためて協議されることになった。

 各党の見解表明では与党間で政府が補助金付き燃料の値上げを決定できる基準をめぐって意見が割れた。
 民主党はインドネシア産原油公式販売価格(ICP)が二〇一二年予算の基準値百五ドルから五%上がれば、政府が値上げを決定できるとの案を示した。しかし、与党各党はそれぞれ異なる原油価格上昇幅を提示。ゴルカル党、国民信託党(PAN)は一五%、民族覚醒党(PKB)は一七・五%、福祉正義党(PKS)は二〇%が適切と主張した。開発統一党(PPP)は値上げの必要はなく、延期すべきと主張した。
 野党の闘争民主党(PDIP)、グリンドラ党、ハヌラ党は値上げそのものに反対するとともに、原油価格の上昇に応じて政府が補助金付き燃料価格を値上げできるという条項を修正案に入れることに反対すると表明した。
 採決は与党が掲げる原油価格が一五%上昇した際に政府が補助金付き燃料の価格を値上げできる条項を入れる案の賛否を問い、賛成三百五十六票、反対八十二票で条件付きで燃料値上げを認める案が可決された。
 ユドヨノ大統領は連立与党の引き締めを図るために今月中旬、与党六党の党首や国会会派代表を西ジャワ州ボゴール県チケアスにある大統領の私邸に集め、燃料値上げの国会審議で政府方針に従うよう要請、合意を取り付けた。
 だが、以前から政府方針に度々離反してきたPKSは早々と燃料値上げに反対する方針を明確化。二十九日夜にはゴルカル党が突如、政府方針に反対する方針を表明した。他の与党もこれに追従したため、民主党は孤立化した。
◇インドネシア産原油公式価格(ICP) イラン情勢緊迫化や日本への輸出増などを背景にICPは高騰を続けており、二月、ICPは百二十二・十七ドルで二〇一二年予算で定めた基準値百五ドルを一六・三%上回った。三月は百十五―百二十ドルで推移しており、九・五―一四・三%の超過幅。

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