運転手、頭を抱える メトロミニ通行禁止か アジア大会期間
中央ジャカルタのタムリン通りを絶えず通り抜ける、オレンジと青のツートンカラーの公共バス「メトロミニ」。1963年に開催された「新興国競技大会」に合わせて導入されたという「庶民の足」メトロミニの姿は、8月に迫るアジア大会中は見られなくなるかもしれない。
ジャカルタ特別州のサンディアガ・ウノ副知事が今月上旬、州内の目抜き通りでメトロミニやコパジャなどのミニバスの通行を禁止する意向を示した。渋滞緩和と大気汚染が主な目的とされているが、運転手らは「仕事がなくなる」と不満の声を上げる。
「大会期間の2週間も仕事ができなければ、3人の子どもを養えないよ」。メトロミニの運転手を10年続けているというイルファンさん(35)は頭を抱える。
西ジャワ州のボゴール市在住で毎日朝3時に家を出て、5時から仕事を始める。呼び込み役のカルワンさん(44)とともに中央ジャカルタ区タナアバン〜南ジャカルタ区パサール・ミング間を1日7往復して、毎日100人ほどの客を乗せる。
「乗客からもらった運賃から、借りているバスの賃料1日4万ルピアなどを引いて、月の手取りは300万ルピアくらいだ」
しかし、最近では州営トランスジャカルタやオンライン配車タクシーに乗客を取られ、収入はピーク時の半分になったと話す。
「アホック元知事のときにはメトロミニの車両を廃止されそうになったこともある。アジア大会期間の通行禁止をきっかけに、またメトロミニ廃止の動きになるのではとびくびくしているよ」と不安を語った。(泉洸希、写真も)