バリ島遊泳禁止も 広範囲で高波警戒 ジャワ南岸で5メートル
インド洋側を中心に広範囲で発生している高波の影響で26日までに、バリ島の一部で遊泳やボートの運航が禁止され、観光ツアーは中止に追い込まれた。ジャワ島南岸にも約5メートルの高波が押し寄せ、沿岸部の一部住民が避難している。気象庁(BMKG)は29日までジャワ島やバリ島南岸で高波が続くと予想し、警戒を呼びかけている。
気象庁は26日から29日にかけて、一部地域で最大風速を37メートルと予想、ジャワ島南岸やバリ島南岸、ロンボク島南岸、スマトラ島西岸、アチェ州サバン北岸などで4〜6メートルの高波が発生する恐れがあるとしている。
バリ島バドゥン県内の全長82キロの海岸を監視するライフセーバー団体BALAWISTAは25日以降、クタ海岸などに「遊泳禁止」の赤い旗を設置し、ライフセーバーたちが見回っている。これまでに高波による事故情報は入っていないが、26日も、禁止ゾーンでサーフィンをする人の姿が目撃されたという。
バリ島やレンボンガン島でツアーを手掛ける旅行会社によると、高波の影響で、19日から27日まで両島間のボート運航が禁止されたため、関連ツアーを中止した。担当者は「1週間以上も運航禁止が続くのは異例。高波は毎年あるが、19日と25日は、過去5年間でも見たことないくらい波が高かった」と言う。「27日は満月で、大潮にあたる。今後の見通しが立たない」と心配そうに話した。
ジャワ島南岸にも高波が押し寄せ、海岸沿いの住民の生活や漁にも影響が出た。西ジャワ州タシックマラヤ県では24日夜、南岸のチパトゥジャ郡パマヤンサリ海岸で高さ約5メートルの堤防を越える高波が発生し、20世帯100人が一時避難。海岸沿いの建物やエビの養殖池50ヘクタール分も被害を受けた。同郡在住の災害対策局ボランティア、ヤティ・スミアティさんによると、26日現在、波は穏やかになったが、一部住民が避難所で過ごすなど警戒を続けているという。
国家防災庁(BNPB)によれば、これまでに、西ジャワ州ガルット県で43棟、スカブミ県で28棟など、沿岸の家や商店の損壊被害も確認されている。中部ジャワ州チラチャップ県では25日、高波を受けたマグロ漁船が海岸近くで転覆したが、船員10人は全員救出され無事だった。25日には、ジョクジャカルタ特別州クロンプロゴ県や東ジャワ州パチタン県などジャワ島南岸の広範囲で高波の被害が見られた。(木村綾)