バンテン広場、改修完了 中央ジャカルタ 噴水ショーの観光名所に
中央ジャカルタ区ガンビルのバンテン広場の改修工事が完了し、25日、一般に開放された。オランダ統治時代の旧官庁街に広がる広場は現在、イスティクラル・モスクやカテドラル、財務省などと隣接。噴水ショーを楽しめる公園や運動場、歩道などが整備され、新しい観光名所として生まれ変わった。
25日午後、同広場のシンボル「西イリアン解放塔」は赤くライトアップされ、多くの若者がセルフィー(自撮り)を楽しんでいた。南ジャカルタ在住の会社員、マリア・ステパニ・ドゥイティアさん(25)は「改修前はわざわざ来ようとは思わなかったが、今は家族や友達と集まれる良い場所になった」と語る。
塔の脇には噴水が新設された。地方の伝承歌5曲とインドネシア語の唱歌3曲をメドレーで流しながら、踊るような噴水の動きをカラフルにライトアップする。噴水ショーは毎週末午後6時半、同7時半、同8時半の3回を予定している。
友人と来ていた東ジャカルタ在住の大学生タリサ・チャルメリアさん(20)は「若者が楽しめるように工夫されている。恋人とも来たい」と話した。
広場を見渡すように立つ塔は高さ約31メートル。インドネシア独立後もオランダ領だった西イリアン(現パプア、西パプア両州)に関する国連協定を受け、1963年に設置された。広場内には、塔建設を命じたスカルノ初代大統領の演説など、独立の歩みをたどる10枚のパネルを設置。歴史公園の顔も持つ。
隣の運動場も全面的に改修され、8月18日に開幕するアジア大会の自転車競技用アリーナも新設された。
25日夜に開かれた開所式にはアニス・バスウェダン知事が出席、「すべてのジャカルタ市民が楽しめる場所になってほしい」と話した。
■アホック氏が発案
改修計画は2017年、バスキ・チャハヤ・プルナマ(通称アホック)元ジャカルタ特別州知事の発案で始まった。企業の社会的責任(CSR)事業として、運動場は米系ファストフード・マクドナルドを運営するレスキ・ナショナル・フード、公園は開発大手シナール・マス・ランドが担当。同年3月に着工し、総工費は約680億ルピア。
アホック氏は在任中、企業のCSRやビルの容積率規制緩和に絡む代替事業を利用した公共事業を促進。置き屋街を市民公園に造り替えたカリジョド公園(シナール・マス・ランド)、オランダ統治時代の建造物が並ぶコタトゥアのカリ・ブサール公園(サンプルナ)、スマンギ環状高架道路(森ビル)の建設など大事業を次々に手掛けた。
一方、アニス知事は、州が管理する施設整備は企業のCSRではなく、州予算で賄うべきだとの考えを示している。(大野航太郎、写真も)