ワニ292匹殺す 西パプアで群衆 襲われた男性の「報復」
西パプア州ソロン県マリアット郡で地域住民ら数百人がワニの養殖場を襲撃、飼育されているワニ292匹を殺した。住民はワニに襲われて死亡した住民男性(48)の「あだ討ちだ」と話している。「現場に役人がいた」との証言があり、経緯には不明点が多い。地元メディアが17日までに伝えた。
同県警によると、ワニに襲われた男性は13日、家畜に与える餌の草を探しに養殖場に入った。ワニ池から聞こえた叫び声で養殖場従業員らが駆けつけたところ、足、首、頭などをかまれており、同日死亡が確認された。
この惨事を聞いた親族ら住民数百人が警察に押し掛けた。警察は養殖場が賠償金を支払うと説明したが、暴徒化した住民らは収まらず14日に養殖場を襲撃した。ゲートを壊し、ハンマーや刃物、シャベルなどでワニを切りつけて殺した。
殺されたワニは、全長約10センチから2メートルほどのものもいたが、ほとんどは小さいワニだった。被害額は約4億ルピアに上るという。
同養殖場は住宅街から約1キロ。環境林業省からの認可を得て2008年から事業を行っている。
西パプア州の自然資源保全センター(BKSDA)は、殺されたワニは292匹より多い可能性が高いとして強く非難、警察と協力して、詳しい経緯を調べる方針。また、ワニが殺されたときに役人がいたとの住民の証言があるとしている。
環境林業省は16日、この養殖場に営業停止を通告した。養殖場が住宅街から近いことが理由。
男性の遺族と養殖場側は同日、話し合いをし、互いに訴訟は起こさないことで合意した。(上村夏美)