貧困率 過去最低 9.82% 物価、格差対策実り

 中央統計局(BPS)は16日、2018年3月時点の貧困率が9.82%だったと発表した。前回調査の17年9月時点から0.30ポイントの改善。民主化後の統計が始まった1998年以来では過去最低となる。
 インドネシアの貧困は「コメや卵などの品目からなる1人1日2100キロカロリー相当の食費と、教育費や光熱費、医療費など最低限の生活を送るために必要な1カ月当たりの支出(貧困線)を満たせない」状態を指す。州により基準は異なり、今回統計で州別で最も低かったのはジャカルタ特別州の3.57%で、最も高かったのはパプア州の27.74%だった。貧困層は2595万人で、農村部の人口は前回より50万人減少の1581万人、都市部は13万人減少の1014万人だった。
 政府は農産物の生産や輸出が概ね好調に推移しており、また農村向けの貧困解消、格差是正に向けたプログラムが効果を発揮していると主張している。
 インフレ率が目標通り前年比3%台の上昇で推移していることや、失業率の抑制も貧困率低下の追い風となった。
 しかし、貧困線より若干上にいるが、わずかな経済の変動で貧困層に落ちる可能性がある潜在的な層は多い。貧困層に近いほど、家電などと比較して値上がり幅が大きいコメなど食糧への支出の割合が大きいからだ。
 また、政府目標に届かない経済成長の中で賃金上昇も抑制される傾向にある。気候変動などで食料価格が上がると厳しさは増す。
 光熱費についても同様だ。政府が方針を一部変更して、電気や燃料向けの補助金を増加してまでもその価格抑制にこだわるのは、値上げが貧困層やその予備軍の生活を圧迫することにつながり、2019年の大統領選挙に響くから、という一面もある。
 スリ・ムルヤニ財務相は所得格差を示すジニ係数(1に近いほど不平等度が高い)も0.389まで低下しているとして、「政策は正しい方向に向かっている」と強調した。
 専門家の間では貧困層の減少幅が小さい「都市部の貧困レベルに焦点を当て始めなければならない」という意見もある。都市部では農村から流入するなどした貧困層が住民登録をされていないケースも多く、実際の貧困率はより高いと見られている。(平野慧)

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