覚せい剤原料138キロ押収 バリ税関 韓国から豪へ密輸途中

 バリ島のングラライ国際空港税関は16日、覚せい剤の原料となる錠剤60万粒(約138キロ)を押収したと発表した。韓国からオーストラリアに密輸される途中だった。国営アンタラ通信などが伝えた。

 錠剤には、覚せい剤の原料となる「プソイドエフェドリン塩酸塩」が含まれていた。
 米国では市販の風邪薬に含まれており、少量の覚せい剤の原料になっていると問題になった。日本でも医薬品に少量含まれ、2010年にイラン人男性2人が同成分を基に覚せい剤を密造したとして覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕された。同法は、含有量が10%を超えると覚せい剤の原料と見なすと別表で規定している。
 ソウルからデンパサール経由でメルボルンにこの錠剤が密輸されるとの情報がオーストラリア入管当局から入り、ことし1月13日に押収。東ジャワ州スラバヤ市の税関などでの薬物反応検査でプソイドエフェドリン塩酸塩を検出した。
 ングラライ国際空港税関の発表では、千粒入りのボトル100本が入った箱が6箱あった。ボトルには「CODANA」というラベルが貼られ、くしゃみや鼻づまりに効くとの記載があった。
 オーストラリア入管は今回のような違法薬物の密輸阻止に向け、今後もインドネシアとの連携を続ける方針を示した。

 インドネシアの麻薬法(2009年35号)などは、プソイドエフェドリン塩酸塩など覚せい剤の原料となる成分を含んだ医薬品が国内に持ち込まれる際に、税関が検査する権限を持つと規定。日本は改正薬事法で「乱用等の恐れのある医薬品の成分」に指定し、原則1包単位の購入に規制している。世界アンチドーピング機構によると、「特定物質である興奮薬」のリストに入り、禁止物質に指定されている。
 空港税関は、ことしは7月13日までに税関総局全体で麻薬、覚せい剤の密輸225件を阻止し、計3899キロを押収したと発表。押収量は既に17年中の計2222キロの2倍近くに上っているため警戒を強化している。(中島昭浩)

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