フリーポート株を取得 38億5000万ドルで過半数 政府

 政府は12日、米鉱業大手フリーポート・マクモラン社との間で、インドネシア法人の株式を過半数所有することで合意したと発表した。買収額は38億5千万ドル。世界最大規模の金・銅山、パプア州グラスベルグ鉱山の安定的な開発を目指し、両者が妥結した形だが、役員構成など依然として課題は残る。

 今回の合意により政府は現地法人フリーポート・インドネシアの持ち株比率を9.36%から51%強まで引き上げる。国営資源のアサハン・アルミニウム(イナルム)が主導し、取得する。政府が取得する株式の比率は42.02%。フリーポートと共同事業体(JV)を組成し、採掘事業を進めてきた英鉱山会社リオ・ティントは保有する40%の権益を株式32.66%に置き換えて35億ドルで政府に売却する。フリーポートは残りの9.36%を3億5千万ドルで手放す。株式譲渡は年内に完了する見通し。
 イナルムのブディ・グナディ・サディキン社長は買収費用について、国内外の銀行11行から融資を受けると明らかにしている。
 政府はフリーポートによる現法の株式51%売却と銅製錬所の建設を条件に、同鉱区での事業許可(採掘権)は株式取得が完了次第、41年まで延長するとした。製錬所の建設は15年後の完成を目指している。
 フリーポート・マクモランのリチャード・アドカーソン社長は「両政府は株式買収により41年までに計600億ドルの配当金を得られるだろう」と話した。
 調印に先立ち、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、今回の合意について「政府は今後も国内の天然資源を守り続けていく」と話した。
 政府は17年1月に未加工鉱石の輸出禁止や、外資が運営する鉱山の株式の過半をインドネシア側が所有することを定める規制を導入した。精錬所建設も義務付けられ、反発したフリーポートと協議が続いたが、同年6月に政府の意向が通る形で妥結した。
 今後スムーズに手続きが進み、長期的な安定生産につながることが期待されるが、課題も残る。
 今回の合意文書では対立していた株式買収後の役員人事については言及されなかった。政府は両社から2人ずつ役員が就任し、外部から1人を招へいすることを提案している。一方、フリーポート側は両社から2人役員を就任させ、最終的な議決権を高い運営技術を持つフリーポート側が持つべきだと主張している。(平野慧)

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