【おすすめ観光情報】小さな島でのんびりと ワカトビ・ワンギワンギ島
バリもいいけど、もっと静かでもっときれいな海のある島に行きたい! でも飛行機からさらにフェリーやボートを乗り継いで移動するのは大変そう——。そんな時に勧められたのが東南スラウェシ州の南東に浮かぶワカトビ県ワンギワンギ島。ジャカルタから同州クンダリで乗り継いで飛行機に乗ること約4時間。ターコイズブルーの海が広がる小さな島に到着だ。
小型機を降りると視界に収まるほどの小さな空港。携帯を見ると、XLアクシアタの電波は圏外になっていたので、テルコムセルのSIMカードを持って行くのをお勧めする。
島を1周する幹線道路を走らせること約20分、今回の宿、「ワサビヌア」に到着した。そこそこ広い敷地の中に小部屋が並んだだけの簡単な宿で、部屋の前のハンモックでは見事に日焼けしたドイツ人のお兄さんが本を読んでいた。
敷地をさらに奥に進むと、小さな、サンゴの岩でできた島へと橋が架かっており、島の上がテラス型のレストランになっている。
宿のマネジャー、ハサンさんのお勧めでワカトビオリジナルの魚のスープ、パレンデ(6万5千ルピア、ご飯付き)を食べた。魚がほぼ丸ごと入った黄色いスープは、普段口にするインドネシア料理と違って辛くなく、レモングラスと魚のだしが効いていてとてもおいしい。
夜は、言われないとそうとは思わない「島の中心部」にある小さなカフェ「コーヒーブロ」を訪ねた。ことし2月に開店したという店は看板や壁の装飾などすべて店主のドドンさんの手作り。頼んだ「アラビカ・ゴールド」(1万3千ルピア)のドリップコーヒーは臭みや酸味がなくて香りがあってさわやか。
ドドンさんはバンカブリトゥン州の大学を卒業後、故郷のこの島に戻って溶接工として働きながら、2015年に愛車ベスパでコーヒーの移動販売を始めた。夢だったコーヒーショップを開くための資金をこつこつと貯め、ことし2月に店をオープンさせた。独学でコーヒーを勉強し、最近では島の外でも活動しているという。
翌朝は宿の前に広がる海でシュノーケリング。水は、マスクをしているのがもったいないくらい透明で、いわゆる「海水臭さ」がほとんどない。サンゴ礁はずっと遠浅に広がっており、岸から泳げる範囲でも十分で楽しめる。もちろん、時間が許せばダイビングもできるのでぜひチャレンジを。
この島には川がない。淡水が湧き出る泉がいくつもあり、洗濯や子どもたちの遊び場となっている。子どもたちに混ざって泉に入ると、ひんやりとしていてとても気持ちがいい。また今回は行けなかったが、島の南部には海上の家で暮らす人々の集落もあり、こちらも人気観光スポットだ。
政府はワカトビを観光開発の優先10地域のうちの一つに指定しており、今後もホテルや観光ツアーは増えていくだろう。まだバリのような「リゾート地」ではないが、大自然の中でゆったりとした時間が流れるワンギワンギ島。ちょっとした遠出に訪れてみてはいかが?(坂田優菜、写真も)