JAD指導者に死刑 南ジャカルタ地裁 サリナ前テロの黒幕

 サリナデパート前爆破テロなど五つの事件に黒幕として関与したとして、反テロ法違反の罪に問われたイスラム過激派組織ジャマア・アンシャルット・ダウラ(JAD)指導者アマン・アブドゥルラフマン被告(46)の判決公判で、南ジャカルタ地裁は22日、求刑通り死刑を言い渡した。被告は控訴しない意向。
 アフマッド・ジャイニ裁判長は判決文で、アマン被告は2016〜17年、中央ジャカルタ区サリナデパート前爆破、東カリマンタン州サマリンダ市教会襲撃、東ジャカルタ区カンプンムラユのバスターミナル爆破、北スマトラ州警察襲撃、西ヌサトゥンガラ州スンバワ島警察官襲撃の五つの事件に関与したと認定した。
 裁判では、一連のテロへの実行指示の有無が争点になった。裁判長は有力な物証として、自由にアクセスできる状態のウェブサイトで発表した被告の著作を挙げた。
 ここで被告は、民主主義を掲げる政府と戦うことはイスラムの教えに基づくジハード(聖戦)だと主張し、自身の部下たちにジハードへの参加を呼びかけたと指摘。イスラム国家樹立を目指すJADの創立者として、これまで多数の犠牲者を出したテロ事件を起こしてきたとした。
 また裁判長は、10年にアチェ山間部で実施した過激派組織の軍事訓練に関与し、禁錮9年が下り受刑中だったことを重視した。
 検察は昨年、刑期満了を目前に控えた被告に対し、サリナ前爆破テロ実行を命じた黒幕だとして起訴した。ことし5月には、被告が西ジャワ州デポック市の警察機動隊本部内の拘置所に収監中、被告との面会を刑務官に要求したJAD構成員ら収監者が暴徒化する事件が発生した。
 これまでの公判で、アマン被告の関与をめぐり、サリナ前爆破テロの資金提供者、サイフル・ムフトヒル被告(禁錮9年)は、アマン被告の指示を受けたことはないと証言。テロ要員や武器の調達などを命じたのは、イワン・ダルマワン(通称ロイス)死刑囚(2004年の豪州大使館爆弾テロ事件の黒幕)だったと主張していた。
 被告のアシルディン・ハチャニ弁護人は、判決について「こじつけだ」と主張。被告はサイフル被告に対して、過激派組織イスラミック・ステート(IS)報道官のメッセージを伝えただけで、テロ実行の命令などではないと反論した。

■法廷でひれ伏す
 同地裁では同日朝から警察官約400人が厳戒態勢を敷いた。携帯電話を使用した傍聴人が退出を命じられるなど、物々しい雰囲気に包まれた。
 アマン被告は、判決文で「死刑」の言葉を聞くと、右手を上げて立ち上がった後、裁判官の前で床にひれ伏し、神に感謝する座礼をした。
 アシルディン弁護人は「被告はイスラム国家以外の国を国と認めていない。そのような国の裁判を認めず、判決も受け入れも拒否もしないとの姿勢を示していた」と話した。(中島昭浩、写真も)

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