目標達成率は26% 石油ガス上流投資 原油高で巻き返しへ

  エネルギー鉱物資源省の石油・ガス上流事業監督機関(SKKミガス)はこのほど、ことし5月時点までの石油・ガス開発の上流部門(開発・生産)の投資額が目標値の142億ドルの26%に当たる37億ドルにとどまったと発表した。原油価格上昇を追い風に年後半の巻き返しを図る。
 ミガスのアミン・スナルヤディ長官は地元メディアに対し、上流分野への投資が低調な理由を「まだいくつかの鉱区で予定通りに掘削が始められていない」と説明。一方で、設備の整備や用地の準備などを進めており、第2四半期以降事業が進展しているとし、「投資目標は達成可能な数値だ」と語った。
 事業の利益は堅調に推移している。2018年年間目標の1億1900万ドルに対して5月時点で6900万ドルを稼いでいる。
 増益の主な要因は原油価格の上昇だ。政府は18年予算の想定原油価格を1バレル当たり48ドルとして、目標利益を算出しているが、実際の原油価格は同65ドル程度で推移しており想定とは大きく乖離(かいり)している。ミガスも目標達成を楽観視している。
 上流部門への投資は世界経済との関係性が強い。14年からの原油価格や連動した液化天然ガス(LNG)価格の低迷により、世界中で開発計画の見直しが相次いだ。インドネシアも例外ではなく、下流(精製など)事業を含めた投資額は14年の207億ドルから、17年は102億ドルまで急落している。エネ鉱省幹部は「17年が最低値。これからは開発、精製ともに増えていく」と期待を見せる。

■マハカムの権益で協議
 上流部門成長の主導を期待されるのは国営石油ガス・プルタミナだ。第1四半期終了時点で2億4700万ドルを投資しているが、これは年間目標33億ドルの7%程度に過ぎない。
 年後半は、東カリマンタン州のマハカム鉱区の開発に大型の投資をするもよう。同鉱区開発には仏系石油大手トタルと国際石油開発帝石(INPEX)がミガスと生産分与契約を結び、50%ずつ権益を保持して開発を進めてきたが、17年末で契約は失効してプルタミナが事業権を持っている。エネ鉱省の中には両社が開発に再参画していくことを想定している幹部もいたが、トタルはこのほど、開発不参画を決定している。INPEXとは引き続き協議していくもよう。
 政府はプルタミナに権益を集めることで統制を強化している、と指摘する日系商社幹部も多い。インドネシアでは、政府やプルタミナと外資が力を合わせて開発、生産、それに必要な設備の建設や改修を行ってきた経緯がある。
 使用量が増大する石油・ガスの開発、生産規模を拡大していく上で、外資の投資を促し、技術を活用するための制度の整備を政府は進めていきたい考えだ。(泉洸希、平野慧)

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