人工島の建物を封鎖 アニス知事 売り出し中の「ゴルフ島」 (2018年06月08日)

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 ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事は7日、ジャカルタ湾で造成中の人工島17島のうち、北ジャカルタ区パンタイ・インダ・カプック(PIK)北沖に位置し、「ゴルフ島」として売り出していたD島内の事務所や住宅など計932軒を「建設許可未取得」として強制封鎖した。「人工島事業中止」を目玉公約に掲げ、知事に就任して約8カ月。歴代知事の下で開発推進と中止が繰り返された島にはすでに多くの建物が完成し、売却済みの不動産もあったが、公約実現に踏み切った。  
 アニス氏は7日午前、州警備隊員300人や州職員と共にD島を訪れ、「島の全ての建物は建設許可(IMB)がない」と、住宅約400軒やルカン(住居付き事務所)約500軒など島内の全建物を封鎖した。各建物には、州条例や州知事令を根拠に封鎖を告げる赤い横断幕が貼られた。
 人工島事業を推進してきたアホック元ジャカルタ特別州知事に対し、アニス氏は選挙中から事業中止を訴えてきた。優先公約に掲げ、知事就任前から人工島開発に関わる大手企業や華人実業家に面会していた。
 アニス氏はこの日、「全ての人に規則に従ってもらうということを伝えておく。小さく、弱い者だけでなく、大きく、強い者に対してもだ」と強調。庶民に対しても強制退去などの厳しい改革策を取ってきたアホック氏を意識しての発言か、大企業相手にも断固として対応する姿勢をアピールした。人工島以外の事業についても、「建設先行ではなく、行政の許可をまず取るように」と念を押した。
 312ヘクタールのD島は、高級住宅地やゴルフ場がある新興開発地区PIKと橋で直結する好立地にある。大手不動産アグン・スダユ・グループの子会社、カプック・ナガ・インダ社が2007年ごろから開発を進めてきた。
 だが環境団体や漁民たちの根強い反対を受け、16年5月に環境林業省が工事中断を決定。その後、17年8月には国土庁がカプック社に対して建物を建設し所有できる権利(HGB)を付与するなど二転三転した。このHGB付与に反発した環境団体などのグループが行政裁判所に提訴し、現在も係争中となっている。

■ルカンに飲食店も
 D島はどんなところか。7日、PIKから伸びる橋を渡ると、レンガ道が広がる新しい街ができていた。島の奧の一部の建物は工事中だが、島入り口側のルカンや飲食店、住居は完成し、あとは入居者を待つだけのように見える。そのほぼ全てに「この建物は封鎖されました」と書かれた横断幕が貼られた。
 街路樹が並ぶメーン通りを挟んで左右には「ゴルフ・アイランド・ブールバールA棟」などと書かれた4階建てのルカンが計7棟並ぶ。テナントはほとんどが空っぽだが、中にはすでに契約済みのものも。電気メーターに目をやると、すでに電気も通っているようで、家具が運び込まれたオフィスやレストランらしきテナントも数軒あった。
 ルカンの前には「フードストリート」と書かれた屋外飲食施設があり、レストランやスタンドなど大小約20店とテント約10個が設置済み。料理の写真やメニューが掲げられ、明日にでも開店できそうな店々にも「封鎖」の赤い横断幕がかけられた。
 人工島事業では度重なる工事中断で、購入済みの不動産をめぐり購入者が代金払い戻しを求めて業者を提訴するケースも出ている。州や開発業者は難しい対応を迫られることになりそうだ。(木村綾)

ルカンの前に飲食施設が並ぶ「フードストリート」=木村写す
ルカンの前に飲食施設が並ぶ「フードストリート」=木村写す
封鎖を示す赤い掲示が貼られたルカン=木村写す
封鎖を示す赤い掲示が貼られたルカン=木村写す

島に建設中の建物の封鎖を説明するアニス氏=アンタラ通信
島に建設中の建物の封鎖を説明するアニス氏=アンタラ通信

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