離島開発、スピード上げて 日本政府・企業に対応促す スシ海洋水産相

 日本を訪問していたスシ・プジアストゥティ海洋水産相は31日、東京都内でじゃかるた新聞の取材に応じ、過去3年半の自らの水産行政について、違法漁業の摘発や漁法の禁止などにより同国海域の水産資源量が大幅に増えた、と成果を明らかにした。今後については水産資源の多い離島を中心に水産業の振興策を推進するにあたり、「日本の協力に強く期待している」とあらためて言明、日本側に協力作業のスピードアップを促した。

 同相の公式訪問は2014年の就任以来今回が3度目。在日インドネシア大使館と日本貿易振興機構(ジェトロ)共催の説明会「インドネシア水産の現状と投資機会」で約80人の水産業、倉庫、輸送業などの業界関係者に対し、約1時間にわたってインドネシア水産業の現状を説明すると同時に水産業の発展に向けた投資を呼びかけた。
 水産資源保護を狙いにした大型トロール漁船の認可停止などによって、インドネシア海域での水産資源量は同相就任以前の13年時点での731万トンに比べ、17年には試算で1254万トンに達し、約1.7倍となったことを強調した。また、「15年以降は水産業の貿易収支黒字額が東南アジア諸国連合(ASEAN)で初めて1位となった」とその成果を示した。
 その上で今後については水産資源が豊富な遠隔地、離島の水産業の振興に一層力を入れる考えを示した。具体的にはジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権が地方開発振興の一環として掲げてきた離島における「総合海洋水産センター(SKPT)」(全国12カ所)を重要戦略拠点として整備に本格着手する考えを示した。
 離島開発に力を入れる理由については、「特定地域における過剰漁業(オーバーフィッシング)の緩和と資源豊富な離島周辺に分散することによる漁獲量の向上と漁民の生活向上」と説明。既に漁業従事者が過剰気味のジャワ島北部沿岸から、東部海域への漁場へシフトを始めており、資源の長期的な確保と操業環境を維持すると同時に食料自給率の向上、ひいては国民の福祉の改善につながる、との考え方を示した。
 その上で同相は、南シナ海のナトゥナ島をはじめ地政学的にも重要である六つの離島の開発、協力を中心に「水産先進国の日本の経験や技術がインドネシアでも役立つと信じており、大変期待している」と述べた。
 ただ、同相は「昨年来、両国で進めている離島開発に関する作業がインドネシア側の期待に比べてスピードが遅い」と不満を表明、「私自身、日本側関係者の方々に作業を速め、進めるよう要請している。私は日本を信じており、その気持ちに応えてほしい」とも述べた。
 「日本側が慎重に作業を進める考えは理解できるが、我々にはそれを待つだけの時間がない」とも語っている。これについて日本の外務省は「作業調整に時間は掛かっているものの、できるだけのスピードで進めている」と話している。(斉藤麻侑子)

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