ドットにかぼちゃ… 草間彌生の世界広がる

 世界的芸術家・草間彌生の個展「人生は虹の心」が、西ジャカルタ区クボンジュルックのヌサンタラ近現代美術館(MACAN=マチャン)で開かれている。1950年代前半から現在にわたるまでの作品130点が展示され、作品と共に草間の人生をたどることができる。
 草間は29年、長野県松本市に生まれる。入り口すぐの空間には、幼少期の草間に見えていた水玉の世界を体感できる「ドッツオブセッション」がある。天井からつるされた光り輝く水玉のボールが、四方の鏡に反射され、水玉の空間がどこまでも続くような感じがする。
 50年前半から草間が日本で描いた絵を過ぎると、自由な芸術を求めて渡米した57年から描かれた「無限の網」シリーズ作品が並ぶ。米国に向かう機内の窓から見えた世界「パシフィック・オーシャン」など、草間が実際に目にした空間が編み目で描かれている。
 同空間でひときわ目を引くのが、銀のボール約1500個が敷き詰められる「ナルシスの庭」だ。同作は66年、国際現代美術展覧会のベネチア・ビエンナーレで、当時招待されていなかった草間が屋外に出品したもの。展示だけでなく、ボールを一つ2ドルで販売したことから展覧会側に中止させられた。販売には、芸術が商業化していく当時の流れを批判する意を込めていたという。多くのメディアで取り上げられた。
 先へ進むと、60年から70年にかけて欧米で行ったボディーペインティングなどのアートパフォーマンス「ハプニング」の写真館がある。
 最愛のパートナーの芸術家、ジョゼフ・コーネルを亡くした翌年の73年、草間は日本に帰る。写真館を出ると、日本に帰国してから制作されたソフト彫刻や水玉模様、かぼちゃの絵が並ぶ。幼少期に畑の中で話しかけられてからとりこになったという草間を代表する作品の一つ「かぼちゃ」。ミラールーム作品では、鏡に反映され無数に広がるかぼちゃの世界をのぞくことができる。
 2009年から現在でも描き続けている絵画シリーズ「わが永遠の魂」のコーナーでは、個展のタイトルにもなっている「人生は虹の心」が展示してある。すでに500作品が描かれてきたというが、草間が実際に選んだ24点が飾られている。
 2階には自分たちで水玉のシールを貼って、作品を作り上げることができる白い部屋がある。同作品は草間作品を出展する国の部屋を再現しており、プロパンガスやミネラルウオーターのボトルを置くなどインドネシアの家庭的な部屋が再現されていた。
 同個展は17年6〜9月、シンガポールで開かれ、同年11月〜18年2月にはオーストラリア・ブリスベンで開催された。
 チケットは1日3千人限定。直接購入も可能だが、事前にネットでの予約を勧める。開場は9月9日までの午前10時〜午後8時。6月15〜17日は休館。チケットは大人10万ルピア。(上村夏美、写真も)

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