【スラマット・ジャラン】広大な「まちづくり」 デルタマス開発に4年 小泉匡弘さん

 双日から出向しプラデルタ・レスタリの副社長として、西ジャワ州ブカシ県のデルタマス複合都市開発事業に従事した小泉匡弘さん(56)が帰国した。産業だけでなく、商業・住宅エリアにも注力し、「まちづくり」を進めた4年間を振り返る。

 日本やイギリスでオフィスビルや商業施設などの開発に携わってきた小泉さんは、外資による対インドネシア投資が加速していた2014年4月に着任した。拡大する地域内のインフラ整備需要に対応することが求められた。「これほど大きい地域開発を経験したのは初めて」と振り返る。
 工業団地グリーンランド・インターナショナル・インダストリアル・センター(GIIC)では17年までに自動車関連産業を中心に約200社が入居し、近年では食品・生活資材系企業の入居も増えている。17年3月には新たに130ヘクタールの開発用地を取得し、工業団地エリアは日系資本によるインドネシア国内の工業団地として最大規模となる約1700ヘクタールまで拡張された。「工業団地エリアの開発と販売は順調に進められた」と話す。
 一方で在任中は社内の活性化にも力を入れた。インドネシア人スタッフに対しては顧客目線に立った「カスタマーファースト」の視点を伝え続けた。何か問題が起こった場合でも真摯(しんし)に対応し、すぐ改善策を講ずることで顧客との信頼関係を構築できるようにした。「4年間で皆分かってくれたんじゃないかな。また忘れられてしまうかもしれないけど」と笑う。日本の大学生や、中東、アフリカなどの政府関係者に事業のダイナミックさを感じてもらえたこともやりがいになったという。
 今後は「工業団地の発展と商業・住宅エリアの発展のバランスをとることが必要」だという。前年度のデルタマスにおける全体収益の約8割は工業団地エリアによるもので、住宅・商業エリアの割合はまだ小さい。住宅については目標となる5万戸建設に向けて、パナソニックホームズとの合弁事業でスマートシティー開発を進めるなど加速、実現させていくことが今後の課題だという。
 今後イオンモール建設や住宅開発が進み、多くの人に移住してもらい、最終的には「町らしいにぎわいのある地域になれば」と期待する。
 また、デルタマス地域を「ジャパンタウンとして新たな邦人コミュニティー形成の場所」にしたいと考えている。17年12月には東部ジャカルタ日本人学校(仮名)の候補地として選出され注目を集めた。
 日系企業に対する工業団地エリアの販売は落ち着きつつあるが、今後は他工業団地へのアクセスの良さや、広い販売可能面積を武器に、現在ジャカルタに拠点を置く日系企業の拡張に伴う移転に期待するという。
 プライベートではチカラン軽音部に所属し、さまざまな日本文化を伝えるイベントでライブ活動を行った。「日本の音楽を知ってもらい『草の根』交流の一環になったと思う」。
 小泉さんは4月から双日本社の産業基盤・都市開発本部の本部長として、引き続きインドネシアを含むアジアを管轄している。(平野慧、泉洸希)

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