レフォルマシ道半ば スハルト退陣から20年
32年間続いたスハルト政権が崩壊してから21日で20年。学生らが当時掲げた「レフォルマシ(改革)」運動は、開発独裁から民主化へと建国以来の変革を後押しし、憲法改正など法治国家の基盤を造った。しかし地方分権化で汚職は深刻化し、捜査当局による措置も道半ばだ。現在、与党幹部となった当時の学生らは、あらためてスハルト体制脱却を訴えている。
レフォルマシとは何だったのか。中央ジャカルタ区サレンバのインドネシア大学(UI)医学部で19日、レフォルマシ運動を率いた当時の学生らが参加する討論会が開かれた。中には現在、連立与党のナスデム党法務局長となった弁護士、タウフィック・バサリ氏(41)も出席した。
法学部学生として、学生運動の調整役を務めたタウフィック氏は、「スハルト退陣後の行政、司法、軍・警察の分割などの青写真が定まっていなかった」と分析。その結果、スハルト一族のファミリービジネスなど、学生が根絶を訴えたKKN(汚職、癒着、縁故主義)体質が残ってしまったと指摘した。
しかし一方で、4回にわたる憲法改正を終え、政権崩壊から5年後の2003年に始動した独立捜査機関・汚職撲滅委員会(KPK)による汚職摘発件数が、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権発足から17年までの3年間で6倍に増加したと評価。学生らが訴えた地方分権化が実施された一方で、深刻化した地方での汚職の摘発が進められていると指摘した。
与党の立場から、タウフィック氏は来年の大統領選について「目先でなく次世代を見据えると、当時の体質を温存する候補は選ぶべきではない」と警鐘を鳴らした。(中島昭浩、写真も、2面に関連)