政策金利引き上げ ルピア安背景に4.50% 中銀

 中央銀行は17日、政策金利の指標金利「7日物リバースレポ金利」を4.25%から4.50%に引き上げると発表した。預金、貸し出しの基準金利もそれぞれ3.75%、5.25%に引き上げる。定例の金融政策決定会合で決定した。引き上げは2014年11月以来で約3年半ぶり。
 足下では、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ政策によって、対ドル為替相場が1ドル=1万4千ルピアのラインを超えた状態で、長期化する恐れも出てきている。中銀は第1四半期の間にルピア防衛を目的として外貨準備から約60億ドルを支出し、ライン周辺でかろうじて支えてきた。
 中銀はインフレ率を2.5〜4.5%の間で維持することを重要視している。現時点ではコントロールできていることをアピールしているが、ルピア安の長期化により▽インフレ圧力が強まる▽ドル建て債務負担が増大▽原油高と相まって原油など資源の輸入高増大による貿易収支の悪化、ひいては経常赤字の拡大——などの懸念から利上げもやむなしと判断された。
 これまで17年8、9月に利下げを実施し、景気刺激策としてきたジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権としては軌道修正になる。企業は銀行から資金を借りにくくなるため新たな投資を控え、経済活動が低調となり、結果として個人消費が鈍くなる恐れがある。
 買い入れオペ(市場公開操作)によって利回りを維持してきたインドネシア国債については、「投資家による国債保有高が健全な状態の内に資金逃避防止に向けて、手を打つべきだ」と指摘する中銀幹部もいる。
 政策金利の引き上げはトルコやフィリピンなども同様に踏み切っており、インドネシア経済だけが特別に脆弱(ぜいじゃく)というわけではない。しかし、17年年間を通して、安定した相場を保ってきたルピアの対外的なショックからの弱さが改めて露呈した中で、ルピア安の状況で強くなる輸出産業を成長させ、国内外からの投資がより集まっていくような体制作りが必要だ。

■アグス総裁へ花束
 今月退任予定で、今回が最後の金融政策決定会合となるアグス・マルトワルドヨ中銀総裁に記者団から花束と手紙が渡された。
 アグス氏は「不良債権比率は低く抑えられ、金融は安定している。世界経済の成長も続き、18年の経済成長も引き続きポジティブなものになるだろう」と今後への期待を話した。(平野慧、泉洸希)

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly