ムラピ山が水蒸気爆発 半径2キロ立ち入り禁止 空港に降灰、28便欠航

 11日午前7時40分ごろ、中部ジャワ州とジョクジャカルタ特別州の州境に位置するムラピ山(2986メートル)で水蒸気爆発があった。噴煙は火口から約5500メートル上空まで達し、火山灰や粉じんが南部を中心に降り注いだ。負傷者はなかった。爆発の影響で、アディスチプト国際空港で降灰が確認され、28便が欠航になった。
 水蒸気爆発は、マグマで熱せられた地下水が噴き出す現象。同様の爆発は、2017年11月22日のバリ島アグン山、ことし3月の東ジャワ州バニュワンギ、ボンドウォソ両県にまたがるイジェン山、日本でも1月に草津白根山であった。
 火山地質災害対策局(PVMBG)は、噴火警戒レベルは約10カ月前から継続している4段階の中で一番低い「ノーマル(通常)」を維持した。ジョクジャカルタ火山技術研究開発センター(BPPTK)によれば、再発の可能性は低いとしているが、各機関は今後も火山活動の監視を続ける。
 災害対策局(BPBD)は、午前9時まで火口から半径5キロ以内を危険区域に指定し、立ち入りを禁じた。並行して火山性ガス対策のマスクの配布と外出時の着用を勧め、避難を呼びかけていたが、同10時になり危険度が下がったため同2キロまで範囲を縮小。自主避難していた住民8890人は自宅に戻った。
 爆発当時、頂上に近い中部ジャワ州ボヨラリ県南部、山北麓のキャンプ場「パサール・ブブラ」などにいた登山者ら166人のうち、8人が軽傷、16人が気分が悪くなるなどしたが無事だった。BPBDによると、外国人は含まれていなかった。166人はすでに下山した。
 降灰は、南麓に位置するジョクジャカルタ特別州スレマン、クロンプロゴ、グヌンキドゥル、バントゥルの4県、ジョクジャカルタ市で確認され、最大で約40キロ地点まで到達した。他地域に降灰はなかった。
 スレマン県にあるアディスチプト国際空港では、風向きによる降灰の影響を見ながら営業停止と再開を繰り返した。爆発後から約3時間後の午前10時42分に一時閉鎖し、同11時40分に再開したが、風向きが変わるなどしたため再度閉鎖し、午後2時17分に再開した。
 同空港を管理する国営第1アンカサプラによると、ジャカルタや東ジャワ州スラバヤ、カリマンタンとバリの両島を結ぶ国営ガルーダ・インドネシア航空の国内便12便、格安航空(LCC)エアアジアのシンガポール発とクアラルンプール発着の国際便5便を含む16便が欠航、同空港発の8便が遅延した。バティックエアの1便は、出発地の東ジャカルタのハリム空港に引き返した。欠航便があった各社は、全額返金や別ルートへの振り替えなどに応じている。
 ムラピ山は10年10月から11月にかけて噴火を繰り返し、350人以上の死者を出した。100年に1度の規模と言われた。(中島昭浩)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

クナパくんとブギニ先生NEW

私のじゃかるた時代NEW

編集長の1枚NEW

キャッチアイ おすすめニュースNEW

インドネシア企業名鑑NEW

事例で学ぶ 経営の危機管理

注目ニュース

マサシッ⁉

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

有料版PDF

修郎先生の事件簿

メラプティ

子育て相談

これで納得税務相談

おすすめ観光情報

為替経済Weekly